振り向いて…-1
祐子は日が暮れてから、あることに気付いた。明日までに提出しなければならない書類を、学校に置き忘れてきてしまったのだ。
「あちゃ〜…。明日の朝にでも早く行って書こうかなあ…」
時計を見ると七時だ。幸い、家から学校までは近く、5分程歩けば着く。結局祐子は、学校に書類を取りに行くことにした。
「お母さ〜ん、ちょっと学校まで忘れ物取りにいってくるよ〜」
2階で掃除をしていた母に声をかけてから、祐子は家を出た。
外には生暖かい風が吹いている。祐子はつっかけサンダルをずりずりいわせながら、暗く細い道を学校へ向かって歩いた。
しばらくして、学校の門が見えてきた。門のそばにある守衛所には、煌々と明かりがついている。後は職員室と、非常灯くらいしか明かりはついていないようだ。祐子は守衛に事情を話して中に入れてもらうと、まっすぐに自分の教室へ向かった。あたりが真っ暗で恐かったので、さっさと用件を済ませて帰ろうと思ったのだ。自然と足は早まる。