焔の魔導師-6
「おめでとう」
「え?マジ?!やったあ!」
「?」
2人のやり取りに、頭の中を疑問符でいっぱいにするラインハルト。
そんなラインハルトを無視して封筒を開けたエンは、中に入っていたメダルを取り出して感無量で見つめる。
「何だい?それ」
「へへぇ〜魔導師の証」
「は?」
「何だ、言って無かったのか?」
ラインハルトの反応を見てアースは呆れた顔をした。
「だって驚かせたかったんだも〜ん」
魔法使いの中にもランクがあり、魔力を持っていて、ある程度魔法が使えるのを、魔法使い。
ゼビアにある魔法学校で勉強して、筆記と実技の試験に合格すると魔法士……実力と実績によって下級、中級、上級に分かれる。
そして、最高ランクの魔導師になるには魔法士としての実績に加え、魔法に関する研究レポート提出、魔法士の時とは比べものにならないぐらいの膨大な筆記と実技の試験、更に現魔導師全員との面接……などなど……そう、簡単になれるものじゃない。
ちなみに現魔導師は目の前に居るゼビア次期国王代理のアース、ファンの宮廷魔導師ベルリア、その双子の片割れでゼビア魔法学校の学長リン、ゼビアの宮廷魔導師フィシュラとバドリナの5人。
これにエンが加わって魔導師は6人になる。
ついでに言うとファンの巫女長ミヤも魔導師の実力は持っているのだが、試験を受ける暇が無いだけなのだ。
医療魔術は魔導師中最高の腕の持ち主だ。
「それでちょくちょくゼビアに帰ってたのかい?」
「試験とか全部ゼビアだしねぇ〜こっち来る前から試験受けたりしてたから〜…1年以上かかったなぁ」
エンはメダルに魔法をかけてネックレスに変化させると、無くさないように首にかけた。
「ま、精霊人の魔導師なんて初めてだからな、普通の判断基準とちょっと違うが……精霊魔導師ってとこか?後、通り名は『焔の魔導師』」
「そのままじゃん」
「考えるのが面倒だっただけだ」
通り名は適当につけられる。
アースなんかは魔導師資格を取った当時、黒髪黒目だったから『黒の魔導師』だ。
「……驚いたな……」
ラインハルトは素直に感嘆の声を漏らす。
「でしょぉ?これでラインと釣り合い取れるしね〜」
王様と一般人より、王様と魔導師の方が断然良い。
「そんな事気にしてたのかい?」
地位や身分をエンが気にするとは思っていなかった。
「だって王様だしさあ〜やっぱりに気になっちゃうよねえ?」
エンは同じ立場であるアースに向かって首を傾げる。