思念-1
- あらすじ:空(そら)は中学三年。受験勉強で毎日遅くまで机に向かっていた
疲れた。いつもいつも同じことの繰り返し。もう寝ようか?いつもより早くベットに入った。
いっそう誰もいない場所に行きたい。自分を知らない人ばかりのところでもいい。暑いから海でも泳ぎたいし。でも、そんな時間ないよね・・・。何かが僕を連れ去ってくれればいいのに・・・・。
思想を巡らせている内に、彼は眠りについた。深い眠りに・・・・
寝苦しい・・・。暑い・・・・。布団なんて着てられない・・・・・。瞼の外がやけに明るかった。
空「ん・・・・あれ?」
布団なんてなかった。下は・・・砂?辺り一面焼けた砂。寝てなど居られない。
空「夢・・・なの?」
しかし、それが夢ではないことを足の裏の神経が教えてくれた。強い陽射しにさらされた砂の上に立っていれば、すぐに火傷をしてしまう。
空「砂漠?・・・なのか?」
周りには砂しかない。しかし、ここでじっとしていてもしかたない。勘を頼りにヒリヒリする足を引きずる・・・・。
しかししばらくして、足に痛みがなくなった。重度の火傷で、神経が馬鹿になってしまっていたのだ。
空「・・・・・」
もう彼にはしゃべる元気もなかった。炎天下、砂漠を裸足で歩く。一キロと持たずに、彼はその場に倒れ込んでしまった。
(なんで・・・。こんなことになってるんだろう・・・。家で寝たんじゃ・・・ないのか?)
もう、体に熱さなど感じなかった。感じるのは強烈な睡魔。徐々に意識が遠のいていく。それが覚めることのない眠りだとしても、それに逆らうことはできなかった。彼は灼熱の砂漠で、意識を失った・・・
騒々しい。天国って案外五月蝿いんだな・・・・。体には火傷の痛みはない。そっと目を開けてみた・・・
視界には、初々しい緑の葉。騒々しいというよりは、心を癒す鳥たちの歌声。ゆっくりと体を起こしてみる・・・。
空「緑の中・・・か。天国って、自然的なんだ・・・」
落ち葉の体温に近い温かい感覚。自分が生きているのか死んでいるのか、それを考える暇さえなく、彼はまた深い眠りの中に落ちてゆく・・・
気づくと、そこはいつものベットの上。暗い闇の中、枕元の時計が発光している。ふと目をやれば、夜中の二時を回っていた。酷い夢・・・。だった。
また眠る気にもなれず、どれくらいボーっとしていただろうか?微かな物音に身を起こす。特に変なことはないが・・・。空耳?そう思った瞬間、何者かに口を塞がれ、そのまま意識がなくなった・・・