思念-2
酷い揺れだ。冷たい床に横たわり、手足をふさがれている。窓一つない部屋に、裸電球が一つ、天井にぶつかりそうになるほど揺れている。きっと、船の上なのだろう。しかも、この揺れから推測すれば、小型船。
部屋にあるたった一つの変化を持った壁。それが鉄の扉。その外側からは、話し声が聞こえてくる。が、あきらかに日本語ではない。感じからすれば、アジア系。それも、中国韓国系ではないだろうか?ここで空に、一つ悪い考えが脳裏をよぎる。
「北朝鮮にさらわれた少年少女」の話し。ニュースか何かで前に見たことがある。人は悪い状況にあると、考えを悪い方へともっていってしまう。体中は震え、考えることすらままならない。
突如きたうねりで、強く壁に頭を打ち付けた。そして、そのまま空の意識は戻らない・・・・・
目が覚めた。もう朝日が昇っている。いつもどうりの風景、砂漠でも森でも船の中でもない。つかの間の安心を手に入れた空の頭に素早く流れた言葉。
「次は海?それが君の願いだよね・・・」
また昏倒状態に陥った空。それから、彼は二度と目を覚まさなかったという・・・
-終-