キングサイズのベッドの上で<後編>-1
暗闇の中、こうこうと照らされたベッドパネルを道しるべに、
ゆっくりと私の手を引き歩みはじめる隆。
私は足下に注意しながら、即かず離れずの距離を保つも、
緊張のあまりすっかり言葉を失っていた。
「ベッド…… おっきいね? ウチの二倍はあるんじゃねぇかな?」
何気ない隆の言葉に私はこくりと頷くも、
やっぱりどこか緊張してるのか、言葉が出ない。
「姉ちゃん? ホントにいいの?」
いつの間にやら辿り着いたベッドの前でそう呟く隆。
私はゆっくりと顔を上げると、相変わらず黙ったままじっと隆をみつめるも、
そっと唇を重ねては、そのまま押し倒すように隆とベッドへと雪崩れ込んだ。
隆とキスをするのはもう何度目だろう。
けれど、こうして自分から唇を重ねるのは数えるほどしかないはずだ。
裸のまま抱き合って、啄むようにキスを繰り返す私。
あまりのベタなシチュエーションに、思いのほか恥ずかしさが込み上げる。
いまさら何を躊躇う必要があるのだろうか。
ここには私たち以外に誰もいないのに…………
「隆………… 好き…… 大好き…………」
私は声を振り絞って、何度も隆に思いの丈を告げた。
言葉にするのが恥ずかしくて、いつも上手く伝えられなかった言葉だけれど、
さすがに今日この瞬間ばかりは逃げる事は出来ない。
だって経験の無い私に出来る事はここまでなのだから……
「俺だって…… 負けないくらい姉ちゃんのこと大好きだよ?」
「うん……」
「いままでも…… これからだって…………」
「うん……」
私の言葉を受け入れるように、
きつく唇を重ねては、私の舌を絡め取る隆。
私は目を閉じギュッと隆の身体を抱きしめると、
後は黙ってその身を隆に預けていった。