愛しき圭都-6
吉祥寺から三鷹へ。大粒の雨が降り出していた。キューブから降りてデパートに入った。圭都はパンティーを履いていないことに違和感があったのか不安だったのか、浮かない顔をしていた。だが、ランジェリーショップで新しい下着を買って、多目的トイレから出てきた圭都は清々しい顔になった。
手を繋いで歩き、キューブに乗ってラブホに向かう。僕の胸はどくんと高鳴っていた。
「叔父さん…」
「うん?」
「わたし、高校1年のとき、初体験してるの」
「そうなんだ」
「歴史の先生と…。この前、嘘ついてごめんね」
離れの部屋で圭都が言った言葉を思い出す。
「そんな嘘は、ついていい嘘だよ」
「ありがとう」
雨は激しくなってきた。フロントガラスのワイパーを強めた。
「初体験の相手は男性?」
「もちろん男性」
圭都は拗ねたような声だ。
「変なこと訊いてごめん」
「いいよ。歴史の先生とは一回だけだったの。わたし、その高校を中退して、私立に入り直したから、吉川先生とは疎遠になっちゃった」
「そうか…。吉川先生にもう一度会いたいの?」
「会いたくない。吉川先生とのことは思い出の中にしまっておきたい」
圭都は高校1年のとき、お尻を掘られていた。ショックだったけれど、良い方向に考えようと思った。
三鷹郊外のラブホテル「コッペリア」のガレージに日産キューブを滑り込ませた。フロントで飲み物を注文して、ピンクを基調した乙女チックな部屋に入った。圭都がトイレに入っているとき、スタッフが飲み物を運んできた。僕は悪企みその1を思いつき、圭都が飲むジュースに利尿作用が働く錠剤を入れてかき混ぜた。堰を切ったかのように欲望は昂まっていた。
圭都がトイレから出てきた。向かい合わせに座ってジュースを飲んだ。圭都は少し緊張している様子だ。
「圭ちゃん」
腕を取り引き寄せて、ベッドに腰掛け、圭都を抱きしめた。キスをした。柔らかい唇だ。男性であるなんて信じられない。天使だと思った。舌で口をこじ開けた。舌と舌を絡ませ合って唾液をじゅるじゅると溶け合わせる。圭都のちっちゃな舌を陵辱していると、愛しさが昂まっていく。
ディープキスという大切な前戯を終えて、抱きしめながら「圭ちゃん、服を一枚ずつ脱がせていっていい?」と問い掛けた。
「ちょっと恥ずかしい」
圭都は頬を染めた。