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若き亀やん、再び!(シリーズ3麻雀編)
【コメディ その他小説】

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ホテルレイクサイドにて-2

オレは富田林亀太郎。みんなはオレのことを『亀やん』て呼びよる。まあ、人気者にありがちなアイドル的呼称やな。今麻雀をしていた場所は、ホテルレイクサイドの212号室や。しゃれた名前やけど湖なんかどこにもあらへん。どぶ池の横のラブホテルや。

オレは何の因果か、このラブホテルの清掃係のアルバイトをしている。オーナーの大和川社長の薄い薄い親戚が、一緒に麻雀をやっていた岸和田や。こいつは中学の時の同級生で、プー太郎のオレをこのホテルに誘いよったんや。もう一人の松原=まっつんも中学の時のツレや。

月曜日の晩は客が少ない。深夜0時を回ったら一律泊り料金になるから、今入ってる客も時間を掛けてゆっくり楽しみよる。それで暇を持て余した支配人を誘って、強引に部屋を開けさせて麻雀をしてた訳や。社長は平日には滅多に来えへんしな。

気の弱い支配人をカモにするつもりがこんな事になるとは、オレってムチャクチャツイてないやんけ…

「と、富田林くん、死んだフリしたらアカン。誘ったんはそっちやからちゃんと払てや」

誰が払うかい!

「はよ起きてえな」

起きてたまるか、ボケ!

「ホンマは起きてるんやろ。ワシホンマはこんなことした無いねんけど金のためやからしゃーないし」

このオッサン、気ぃ弱い癖に金に執着しとるなあ。

「し、支配人さん、それで何するつもりや!」松原が慌てた。

「金のためや…」

このボケ、何さらす気や?

「おいおい、まさか本気ちゃうやろな?」岸和田も慌ててる。

「起きひん富田林くんが悪いんや〜、ひひひ〜」

一体何なんや?

「おい、このオッサン目がイッてるど、アカン本気や!」

臨場感溢れる岸和田の声が響く。

えっ、何なの何なのおおお?

「ひひひひひ〜」

「うわっ!やめ、あ―――――!」

尋常じゃないその叫び声と殺気を感じたオレは体を捻った。その一瞬後、今までオレの頭が有った所に『ガシャッ!』と、鈍い音が響いた。危機回避を喜んだのは一瞬の事。

「アツツツッ!アッツ―!メチャ、アッツ―!」

オレの後頭部に飛び散った熱いしぶきが掛った。慌てて振り返って先ず目に飛び込んだのは、電気ポットが蓋を開けた状態で転がり、もうもうと湯気を立てている光景だった。それを見ただけでもゾ〜ッとしたけど、殺気を感じて目線を上げると、湯気越しに見えた狂気の支配人の目は、しょんべんをちびりそうになるくらい恐ろしかった。

狂気の支配人はこちらにイッた目を向けて「ひひひ〜、残念」とヒクヒク笑っていた。

ゾォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜こ、こいつの目ぇ、殺人者の目ェや!絶対二、三人殺ってるど…


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