2-6
◇
「しんどくなかったか?」
あれから俺達は一緒にシャワーを浴び、服を着て一息ついていた。
「ん、大丈夫……」
「立ちバックがメグのお好みだったなんて新発見だな」
俺は煙草を吸いながらニヤニヤした顔を彼女に向けると、恥ずかしそうに頬を膨らませた。
「もう、そんなこと言わないでよ」
「いや、今まではメグはセックスがあまり好きじゃないと思っていたから、嬉しくなったんだよ」
「そんなこと言うなら、陽介だってそうでしょ? 珍しくがっついてくるんだもん」
「それはだな、友達がさっきいい感じになってるの目の当たりにしたからつい触発されちまって……」
「へえ、どんな風に?」
キョトンとした顔のメグを目の前に苦笑いになる。
一線は踏みとどまったとは言え、さっきの流れは言えるはずがない。
俺は煙草をもみ消すと、隣で首を傾げたままのメグの肩を抱き寄せた。
「あまりにいちゃつき始めたから、ついつい俺も対抗したくなったの。俺だってメグとこんなにラブラブなんだって」
「ふうん、陽介って負けず嫌いなんだ」
「ああ、そうだよ。だからアイツ等に負けないよう、もっともっとすげぇことこれからガンガンしような」
まだ濡れたままのメグの洗い晒しの髪にそっとキスしながらそう言うと、
「……ホント、好きだね」
と、呆れたような声が飛んできた。
そりゃそうだろ、好きな女と一つになる喜び、好きじゃなきゃ味わえねえんだから。
羽衣のことは元々気に入ってたし、あの流れだと最後までいってしまっても不思議ではなかった。
でもな、それを思いとどまったのは罪悪感からなんかじゃない。
俺はやっぱりメグが好きだから、好きな女だけを抱きたいのだ。
一途に羽衣を想っていた広瀬のように、まっすぐな男にはなれないと思い込んでいたけど、なかなか俺も可愛げあるかも。
ふと、今頃広瀬と羽衣も同じ気持ちを抱きながら身体を重ねている姿を思い浮かべながら、俺はそっと愛する彼女に口付けた。
〜終〜