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my dear
【女性向け 官能小説】

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-3

部屋に入るなり、急に呼び出したことに対し、俺を非難めいた目で睨む羽衣。


「まあまあ、広瀬のめでたい門出なんだから、そんな顔すんなよ」


俺がニヤニヤした顔で羽衣にそう言うと、一瞬呆然とした顔になって、


「え、門出って……」


と、横に座る広瀬を見つめていた。


広瀬は広瀬でこの後の展開を期待でもしているのだろうか、少し赤い顔で


「告ってOKもらった」


と、俯いて言った。


その時の羽衣の顔ったら。


目を見開いて信じられないといった顔のまま固まったかと思えば、


「……よ、よかったじゃん。おめでとう広瀬」


と、上擦った声であくまで平静を装おうとしている。


こうも俺の読み通りの展開になると嬉しくてたまらない。


ついついにやけてしまう顔をなんとか引き締めていると、羽衣とバチッと目が合った。


すっかり泣きそうな顔になってしまってる羽衣。


慌てて奴は目を逸らしたが、その表情でお前の気持ちは全て読めたよ。


待ってろ、羽衣。すぐにお前の望んだ展開にしてやるよ。


俺はニヤニヤ笑いをなんとかこらえながら、煙草を灰皿の上にポンと落とした。


「いやあ、これで広瀬にもとうとう彼女ができちまったか」


俺が再び煙草をふかしながら、白々しくもそう言うが、羽衣の顔は晴れないままだった。


微妙な空気がどんより俺達を煙草の煙とともに白く包む。


そんなことお構いなしに俺はさらに続けた。


「でもさ、お前女と付き合うの初めてだろ? そこら辺大丈夫なの?」


「何がだよ」


「だから、デートとかイベントの時とかうまくリードできんのかなあってことだよ」


「あー……」


戸惑う広瀬は、俺の思惑など知らないままに横目で羽衣を見る。


そして、広瀬と羽衣が目が合うと奴は、


「そうだよ、そういうのは羽衣に聞けばいいんだよ。曲がりなりにも女なんだし。なー、羽衣ちゃん。これから女心って奴をレクチャーしてくれよ」


と脳天気に言ってから、発泡酒を一気に飲み干した。


コイツは羽衣に男ができた時は、自分の気持ちを知られないよう祝福してきた。


単純バカだけど、そういう時の気持ちの押さえ方は、もしかしたら羽衣より上手いのかもしれない。



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