投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

コンクリートと鎖
【OL/お姉さん 官能小説】

コンクリートと鎖の最初へ コンクリートと鎖 0 コンクリートと鎖 2 コンクリートと鎖の最後へ

コンクリートと鎖-1

0

日常。これがいとも容易く壊れてしまうのは、本やマンガの世界だけだと思っていた。ましてや、自分のそれが壊れてしまうなんて、思ってもみなかった。


1 8月某日 昼
マンションの駐輪場に自転車をとめ、俺―鶴見秀(つるみしゅう)はマンションの裏を歩いていた。毎週の恒例行事だ。
このままいつもどおり家に帰るはずだった。だが、俺はいつもと違うものを見つけてしまった。いや、正確には「もの」ではなく「人」だ。
マンションの壁に背をもたれかけながらこちらをみていた。その容姿はまるで彫刻のように整っており、まさにモデル体型と言ったところか。
その彼女がこんなところで何をしているのか、という疑問も湧かなくは無かったが、いかんせん見ず知らずの人だ。そう声をかけるわけにも
いかないので俺は軽く会釈をして通り過ぎるつもりだった。
「ねぇ、キミ」
彼女に声をかけられるまでは。
「なんでしょう?」
俺は特別警戒することもなく返事をした。
「私の家、このマンションなんだけど…」
「はぁ」
こんな綺麗な人がこのマンションにいただろうか…?
俺は記憶を掘り起こして見るが、いかんせん1000世帯以上もいるマンションだ。思い出せる訳がない。
「何かお困りですか?もしそうなら俺じゃなく管理人さんに…」
「違うわ。あなた、このマンションの人よね?」
「ええ」
「私の部屋にこない?」
…は?一体この人は何を言ってるのだろうか。初対面でいきなり部屋に来ない?と聞かれることは日本、いや世界でもなかなか無いだろう。
新手の風俗勧誘かなにかだろうか?
「俺を部屋に連れ込んでどうするつもりです?風俗勧誘なら間に合ってま…」
そこまでいった途端、俺の視界は暗転した。

2

ふと目を覚ますと見慣れた天井が視界を覆っていた。
なんだ、夢か。全く意味のわからない夢を見たものだ。そして、体を起こそうとし、その時初めて自分
の体が自由に動かせないことを知った。両手両足に手錠がはめられ、ベッドに取り付けられていた。
「夢…じゃないのか?」
「ええ、そうよ」
ちょうど部屋に入ってきた彼女が俺の独り言に答えた。
「俺を人質にして金でも要求する気か?だったら残念だったな。うちは普通の家庭だから要求するほど金は…」
「そんなことする訳ないじゃない。私は気持ちよくなりたいの」
「どういう意味だ?」
なんなんだ、意味がわからない。
「私とsexしてっていってるのよ」
「なっ…」
まさかこいつ、最近近所で出没してるっていう誘拐犯か?
「キミに拒否権は無いわよ。万が一口外でもしたら、キミに犯されたっていって社会的に抹殺するから」
「………っ!」
完全にイカレてるとしか言いようがない。
「キミもすぐ快感に溺れて私を欲するようになるわよ。それからもし妙なことをしようとしたら…」
彼女は一度言葉を区切り、懐から折りたたみ式ナイフを取り出し、俺の頬近くで弄んだ。
「間違えて刺しちゃうかもしれないから気を付けてね」
容姿が容姿だけに端からみたらとても可愛く見えるだろう。
だが彼女は猫を被った鬼だ。俺にはもう恐怖しか残っていなかった。
俺は抵抗をやめ、全てを諦めた。


コンクリートと鎖の最初へ コンクリートと鎖 0 コンクリートと鎖 2 コンクリートと鎖の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前