おしおきとご褒美と-3
首筋に佐伯の舌が這う。ぬるぬるとしたその感触が、快楽に溺れる体に追い打ちをかける。
「そんなことしちゃだめ、パパ、ごめんなさい、許して、許してええええ!!」
体の内側がまるで別の生き物になってしまったかのような、すさまじい絶頂感。それでもまだ手錠は外されず、バイブは膣の奥深くに突っ込まれたままだった。乳首でもクリトリスでも細かな振動は終わることが無く、気も狂わんばかりの快感が続く。マヤは恥ずかしい部分をさらけ出した状態で全身から汗を吹き出させ、何度も叫び、絶頂を感じ、やがて意識が朦朧とし始めた頃になって、やっとその責めから解放された。
「あはは、大丈夫かい? ずいぶん感じていたじゃないか……」
バイブが引き抜かれ、胸のローターが剥がされ、手錠も外された。恐怖にも似た快感の連続はマヤの体にしっかりと刻み込まれ、責めが終わった後もなお体の震えが止まらなかった。ベッドの上で膝を抱えるようにして、マヤは拗ねたように佐伯に背を向けた。
「もう、あんなのはやめて。ひどい意地悪しないで……ほら、こんなに赤くなっちゃってる」
背を向けたまま、手錠の跡が赤く残った手首を佐伯に見せた。佐伯はその手を両手で優しく包み込み、慈しむように撫でた。
「ふふ、そう怒るなよ。食事もせずに抱いてほしいなんて言われたもんだから、こっちもちょっと興奮したんだ。機嫌直して……ほら、こっちを向いて」
肩に手を掛けられて佐伯の方を見ると、いつもの落ちついた優しいまなざしがマヤを見つめていた。父親の雰囲気を備えた、大人の男。両腕を伸ばす。佐伯はマヤの体を軽々と抱きあげ、そのまますぐ横にあるバスルームの扉を開けた。
服を脱ぎ、バスタブに湯を張りながら佐伯はマヤの体をスポンジで丁寧に洗った。柔らかなスポンジが肌の上を滑る。石鹸の香りがバスルームいっぱいに満ちる。荒々しい刺激に嬲られた体が、心が、少しずつほぐされていく。
「マヤは本当に綺麗だね……この腰のくびれも、大きな胸も、尻も……芸術品のようだよ。ほら、もっと綺麗にしてやろう」
「あ……」
佐伯はマヤを膝の上にのせ、石鹸の泡をたっぷりとつけた手で、マヤの乳房を優しくマッサージし始めた。下から上へと持ち上げるように、外側から内側へ。乳輪のまわりも、乳首の尖端も。そしてマヤの股間に押し当てられた佐伯のペニスが、溢れ出るマヤの愛液に浸されながら熱く固くなるのがわかった。
「パパ……おっきくなってる……」
「マヤが可愛いからだよ……マヤのここも今日はすごいね。だらだら涎を垂らして……」
シャワーの熱い湯が浴びせられ、全身を覆っていた泡が流される。抱き合ったままバスタブの中に入ると、その瞬間マヤの中に佐伯のペニスが挿入される。欲しかった、本物の男のもの。それはマヤの中で熱さと大きさを増し、正面から抱き合う格好で、マヤは佐伯にしがみついて悶えた。
「これ……、これが欲しかったの……」
「僕もマヤのここに入りたかったよ……本当に今日はどうしたんだい? こんなにぎゅうぎゅう締め付けてくる。男が欲しくて堪らなかった?」
「そんな言い方しないで……パパのが欲しかったのよ……言ったでしょう……んっ」
「嘘つきだね、誰でもよかった癖に。今月だけで何人の男と寝たんだい?」
佐伯がマヤの腰を抱えたまま下からぐいぐいと突き上げてくる。佐伯の目を見据える。
「何人……なんて、覚えてないわ……」
「おお、その目、久しぶりに見たよ。食い殺されそうな怖い目だ……いいね、嫌いじゃないよ。金のために社長に体を開いて、そこで抱えたストレスを他の男どもで発散する……そんな壊れた君が大好きだ……」
舌が捻じ込まれる強引なキス。言葉を返すことができない。佐伯はすべて知っている。関係を持ち始めてすぐの頃、マヤが自分で話した。この救いの無い現状を。誰にでも話すわけじゃない。つきあいはまだ浅いが、佐伯は壊れたマヤを心底求めていた。抉るように腰を打ちつけられながら、激しいキスを受け入れながら、マヤは佐伯から聞かされた話を思い出す。