さよなら-1
アオイの指差す胸元をなぞると、黒の刻印が浮き上がる。
「あぁ、その刻印があれば俺はお前がどこにいようともすぐに見つけられる・・・」
「きっと・・・探しに来てくださいね」
「・・・トワ様にも、またお会いしたかった」
「いつでも会えるさ、あいつもお前のことが相当気に入っているようだし・・・俺の妃としてなら今すぐにでも連れてってやるよ」
驚いたように目を丸くするアオイのふいをついてティーダが優しく唇を重ねた。
「アオイ・・・愛してるぜ」
「・・・・・」
「・・・アオイ?」
『・・・アオイ?』
「アオイ?」
ふとした違和感を感じ、キュリオやエクシス、ティーダはアオイの手首をつかんだ。
「キュリオ・・・エクシス・・・ティーダ様・・・・」
今、アオイは三人の王の目の前に立っていた。目を閉じてその涙をぬぐうことなく泣いている・・・。
「愛しています・・・
たとえいつかこの身が滅びても・・・・・二度とこの世界に戻ることが叶わなくても・・・私は永遠に・・・・・貴方たちを愛しています・・・」
「愛をありがとう・・・・・」
涙を流しながら・・・アオイは見たこともない程に美しい笑みを浮かべ、その体は光に透けてゆく・・・。
「・・・・っ!!!アオイッッ!!!」
それぞれの王は絶叫にも似た声をあげ、アオイの体を抱きしめる。アオイの手がしっかりとキュリオ、エクシス、ティーダの背中を抱きしめた。
「・・・さよなら・・・
いつか・・・・また・・・・出・・会えた・・・ら・・・・・」
アオイを抱きしめていた手が宙を抱く。悲しみに押しつぶされそうなそれぞれの王が空を見上げると、真っ白な羽が雪のように降り注いだ。
「さよならなんて言わせない・・・いつか必ず、お前を奪いにいく・・・・・絶対に・・・・」
その頃、死の国にマダラ、エデン・・・アオイの三人は居た。
声を殺しながら両手で顔を覆ってアオイは泣いていた。その背は震え、悲しみに押し潰され死んでしまうのではないかというほど辛く、苦しすぎるものだった・・・。
アオイが頼んでいた願いとはこのことだった。本人たちを目の前にして決意が揺らがぬように・・・自らの人形をマダラに用意してもらっていたのだ・・・