例え、その心が・・・-1
城に戻りアオイを抱いたままキュリオが自室へと向かった。途中カイが心配そうにアオイを見つめる。
「カイ・・・・」
「アオイ姫さま・・・・」
アオイが手を伸ばすとカイもその手を伸ばす。横目でみたキュリオがそのまま歩みをすすめるとふたりの指先はわずかに触れて・・・すぐに離れていく。
「・・・お父様、カイと少し話を・・・」
「・・・・・」
無言の拒否をつらぬくキュリオに葵は視線を落とした。
キュリオの部屋に入るとそのままベッドにおろされて、驚きと戸惑いにアオイはキュリオを見上げた。
「・・・・今夜はずっと私の傍にいてくれないか?」
「・・・・キュリオ・・・・」
(今夜は私の傍で・・・・)
「・・・・っ!!」
キュリオに重なって、黒髪の・・・神官の幻が見えた。
(・・・・っ九条・・・・・)
ふたつの意識が混濁して手が震えた。
夢でみた人物がどんな声でどんな姿だったか、そして名前が・・・すべてが考えることなく手に取るようにわかってしまった。
震えるアオイの肩を抱きしめ、キュリオが静かに言う。
「・・・私はお前を愛している・・・
いつか・・・お前が私を忘れてしまったとしても・・・私の心は永遠にアオイのものだ。例え、お前の心が数億の人界の民のものでも・・・な」
熱い涙がアオイの頬を伝う。
(私の心が人界の民のものでも・・・キュリオの心は永遠に私の・・・もの)
アオイはキュリオの胸にしがみついた。とめどなくあふれ出る涙を止めることが出来ず・・・そして、この人を不幸にしてしまう自分の運命を悔やんだ・・・・
しらばくして部屋の扉がノックされた。
キュリオがアオイの傍を離れドアを開く。
「アオイと話がしたい」
そう言って現れたのはマダラとエデンだった・・・。
黙ってふたりを部屋へ通すキュリオはアオイの頭をなで、額にキスを落とした。
「アオイ・・・またあとで」
そう微笑んでキュリオが席を外し、部屋にはマダラとエデンとアオイの三人が残った。
「・・・つらいか」
「・・・・・」
ぎゅっとシーツを握りしめてアオイは涙をこらえた