無意識の中で-1
「・・・夢?やつ・・・?」
まだ霞のかかる夢のことを思い出せないアオイは首を傾げて考えている。
「何の話だ?」
エデンとティーダは顔を見合わせている。
「昨夜・・・神官の一人がアオイの夢に現れた。漆黒の男だ」
「・・・・九条か」
心当たりのあるエデンは彼を九条と呼んだ。
「夢と言えど・・・誰が傷ついてもアオイが悲しむ。そなたらが戦っていたとき彼女はどんな顔をしていた?」
マダラは葵へと視線をうつした。
『・・・・・』
「あいつらには・・・神官たちにはもうしばらく猶予をくれと頼んでいたんだ」
エデンは考えるように腕組みをしている。説得できなかったと言わざるを得ない結果だ。
「夢に出てきた男は、おそらく九条という神官だ。その男と戦ったのか?」
「ああ・・・確かに"九条"とアオイは呼んでいたな」
アオイの心臓がドキドキと音を立てて、九条という名前に反応する。
「・・・神官の中で特に葵に想い入れのある男がいると言ってただろう、それが九条だ・・・・やつは強いぞ」
『・・・我の夢の中で息の根をとめれば現実世界でも無事では済まぬ・・・次は仕留めてみせる。邪魔をするな・・・』
「誰を仕留めるのですか・・・?」
それまで黙っていたアオイが震える手でエクシスに問う。
『・・・・・』
「お願いです・・・
誰が傷つくのも・・・エクシスが傷つくのも見たくない」
泣きそうな顔をしているアオイを見つめながら
「まぁいい。今夜も床を共にするぞアオイ」
悪びれもなく、マダラは親切心で言っているのはわかる。アオイの傍で眠り危険があれば夢に飛び込んで状況を打開しようというのだ。
「・・・床を共に・・・・?今夜、も?
マダラお前いつの間に・・・・」
エデンは半ば関心するような眼差しでマダラを見やった。
エクシスはあまりの事に呼吸すら忘れているようだ。キュリオなど紅茶がこぼれているのも認識できずにカップを傾けたままにしている。
「マダラ様、ですから・・・・床を共にという表現は・・・・・」
その場にいた王たちを説得するのに小一時間かかったことは言うまでもなかった。