精霊達の談笑-3
「ポゥ」
何となく空中に浮いていたポゥに召喚師、キアルリアが声をかける。
「これからどうする?」
召喚師との仮契約は終わっている。
まだ力が残っているからこうして実体化しているが、暫くするとそれも出来なくなるだろう。
かと言って、魔力の合う人物も居ない。
出来ればザックとデレクシスに付いて行きたいが無理な話だ。
項垂れて首を横に降るポゥに、キアルリアは手を出す。
『ピ?(何?)』
「あのね、サガンの本にあったんだ……オレの魔力を凝縮して魔力石を作る方法」
広げたキアルリアの手の平には小さな緑色の石がついたネックレスが乗っていた。
「実体化するだけならこれで半年はいけると思う」
キアルリアはそれをポゥの首にかける。
「足りなくなったらまた作るからさ」
にっこり微笑むキアルリアに、ポゥは目を潤ませて飛び付いた。
『ピピッ!(ありがとう!)』
これでデレクシス達と一緒に行ける。
すりすりと甘えたポゥはヒラリと身を翻してデレクシスの所へ飛んだ。
「ポゥ?」
『ピィ?(ねぇ、一緒に行っちゃダメ?)』
『クェ(一緒に行っていいか?ってさ)』
ザックがデレクシスにポゥの言葉を伝える。
「良いに決まってるじゃないか!君のパートナーが見つかるまでよろしく!」
ポゥは嬉しそうにデレクシスの頬にキスをし、デレクシスもお返しのキスをポゥの額に落とした。
「で?お前らこれからどうすんだ?」
黒の魔導師、アースが腕を組んで問いかける。
「僕とケイはアースとキャラの様子見てこいって言われただけだし、直ぐファンに帰るよ〜」
キアルリアの兄であるファンのラインハルト王が、心配して転移の魔法陣で送り込んで来たのがエンとケイだったのだ。
「せっかくだからケイにゼビアを案内してからね」
エンがケイに向かって悪戯っぽくウインクする。
ケイとクインはやった〜っと、空中でハイタッチ。
「私はそろそろカイザスに戻ろうかな」
デレクシスだっていつまでもフラフラしているワケにはいかない。
これでもカイザスの第3王子だ。
国に戻って旅で身につけた知識を役立てなければならない。
「ただ……バリーがゼビアの騎士団に入るってさ……」
旅慣れた冒険者バリーを護衛代わりにしていたデレクシス。
旅をしながらバリーに世の中の常識と、生きる術を教えてもらった。
この旅が終わってカイザスに戻ったら、カイザスの中隊を任せようと思っていたのに……彼はゼビアを選んだ。
なんだかカイザスがゼビアに負けた気がして悔しい。