精霊達の談笑-2
『君んとこは大丈夫だよ。綺麗な人魚になるだろうね』
鷲は飛び魚とそのパートナーが完全共有した姿を思い出した。
『贅沢を言うなら女の子が良かったな〜』
イルカは体をくねらせて見せ、それはそうだよね〜、と精霊達は頷く。
「アビィ」
「クイン」
「ザック、ポゥ」
その時、下からそれぞれのパートナーが名前を呼んだ。
視線を向けると、召喚師と黒の魔導師も一緒に居る。
『キュア』
始めに火竜のアビィが翼を広げて飛んだ。
鷲のザックと飛び魚のポゥは食べかけの林檎をどうしようかと林檎を見つめ、それに気づいたイルカのクインが口を大きく開ける。
ピンときたザックは脚で林檎を放り投げ、それを見たポゥも鼻先で林檎を跳ね上げた。
クインはそれをカプッカプッと連続キャッチして、ゴクンと丸飲みにする。
そして、3体はアビィを追いかけて飛んだ。
ザックは翼を羽ばたかせ、クインとポゥは空中を泳ぐように進む。
「なぁにさ?精霊同士で何の話?」
アビィのパートナー、エンがアビィの頭をぐりぐりしながら聞いた。
『キュ(内緒)』
「悪口じゃないよね?」
ザックのパートナー、デレクシスがザックに腕を出して顔をしかめる。
『クェ(違う違う)』
デレクシスの腕に止まったザックは彼の肩まで移動し、顔を擦り寄せた。
「クイン〜ゼビアの空はファンとは違う?」
『ククッ(海が遠いよ)』
クインのパートナー、ケイはファンで漁師をしている。
その手助けをしているクインは海水の精霊……故郷が離れて少し落ち着かない感じ。
「しょうがないよ……ほら、ここからなら少し海が見えるよ?」
北の方を差したケイの指の先を見たデレクシスは、自分の首にかかっているネックレスに触れた。
そこはデレクシスとポゥのパートナー、ウィルが出会った場所。
ポゥはデレクシスの無意識の動きを見て、自分の妬きもちはただの杞憂だったと気づく。
彼はまだウィルを愛している……それはポゥにとって嬉しい事だったが、同時にとても切なく悲しい事でもあった。