キッチンの悪戯狼(注意、性描写あり)-3
「っ……はぁ、あ……」
「ハハッ、俺の勝ち」
聞き捨てならないセリフに、荒い息もつきながら、反論した。
「だ、だって!あんなの卑怯……胸だけって……」
「へぇ?俺は『下を触らないで』って言っただけだけど?」
しれっと言い返され、スカートのうえからそこを軽く指でなぞられた。
「ふぁぁぁ!!!」
すでにぐちゃぐちゃになっていた蜜壷には、それだけでも強烈な刺激になった。
「ラヴィ、すごく可愛い」
かすれた声が耳元で囁く。そのまま、さっさとスカートを捲られてしまった。
下着の横から指が侵入し、ぐちゅぐちゅ淫猥な音が響く。
「あ、あああああああ!!」
今度は率直過ぎるほど与えられる快楽に、簡単に屈してしまう。
しがみついたシャツの背に爪を立てながら、身体を弓なりにそらせて快楽に上り詰めた。
「ひ……ぁ……あああ……」
身体の奥が、ひくひく蠢いている。
ここまで来たら、もうラヴィも終われない。
「あ、あ……ん……」
半脱ぎの衣服がまとわりつく身体で、されるがままうつ伏せにテーブルへ上体を押し付けられる。
灼熱の塊が押し付けられたと思った次の瞬間、一気に奥まで貫かれていた。
「ひぁあああん!!」
悲鳴にも似た嬌声が上がる。背骨が限界まで反り、必死に天板へ爪をたてた。
狭い蜜道をギチギチと押し広げられても、狂いそうなほど焦らされ続けていた身体は、少しも痛みを感じない。
やっと求めていたものが与えられた事に、ただ夢中で喜び、快楽に溺れる。
「あっ!は、ああっ!」
腰を掴まれ、揺さぶられると、あっという間にまた昇りつめる。
何度も何度も瞼の裏に火花が散り、神経が焼ききれそうなほど快楽に浸けられる。
口端から唾液が垂れ、強すぎる快楽に涙が零れ落ちて、真っ赤になった頬に伝っていく。とてもみっともない顔のはずだ。
「や……ああっ!!あ、あっ!!」
テーブルに突っ伏して、両腕で身体を支えながら顔も隠していると、腰を掴んでいた手が、上へ回った。
「きゃっ!?あああ!」
繋がったまま上体を引き起こされ、その拍子に、いっそう奥まで突き入れられ、また達した。
「ひぅっ!あ……あ……はぁ」
「ラヴィ……俺の事、どう思ってるか言って」
「はぁ、はぁ……え?」
「何でもいう事聞いてくれるって賭け。俺の勝ちだろ?」
だから……と、背後から強く抱きしめられ、耳元に囁かれる。
「俺が好きだって……言って」
ルーディの表情は見えなかったけど、とても切ない声音だった。
「あ……」
ルーディが大好きに決まっている。
世界の誰よりも愛してる。
それがラヴィの中で、もう当たり前すぎていて、気付かなかった。
彼に愛され通じ合っていても、考えてみれば、まだ一度もちゃんと言葉に出して言った事がなかったのだ。
「ルーディ……好き……」
あらためて口にするには、なんだか気恥ずかしかったが、首を精一杯後に向け、はっきり告げる。
「愛してる……私のつがいは、世界中でルーディだけよ」
その時見たルーディの顔を、ラヴィは一生忘れない。
今にも泣きだしそうなクシャクシャの笑顔で、ラヴィを抱きしめてキスした。
「んっ!んんっ!」
唇を重ねながら、器用にラヴィの身体は反転させられ、再びテーブルの上に横たわる。
「っは……あ、ああああっ!!」
激しく腰を突き入れられ、仰け反りながらルーディにしがみつく。
「ああっ!す……すき……あいしてる……ふぁっ……るーでぃっ好きぃっ!」
一度溢れ出した言葉が止らない。
言うたびに、心臓の奥に暖かいものがこみ上げてきて、必死で訴える。
あの時、本当に死んでも良いと思ったけれど、今は二人で生きたいと思う。
二人でなくては駄目なのだ。どちらが欠けてもいけない。
ラヴィはもう、ルーディなしでは生きていけないし、ルーディもラヴィなしでは生きていけない。
たとえ身体は生きていても、心が死んでしまうだろう。
これが自惚れじゃない事を、もう互いに知っている。
「ラヴィ……俺も……愛してる」
狼の凶暴性と人の優しさを合わせ持った琥珀の瞳が、ラヴィの心も身体も貫く。
世界でたった一人の愛しいつがい。人間にも狼にも人狼の中にも、他には誰も該当者はいない。ルーディだけだ。
愛してる。愛してる。愛してる!!
抱きしめ、抱きしめられ、喘いで貫かれ、注ぎこまれ、荒い息をつきながら口づけを交わし、照れながら笑いあう。
激しすぎる情交の名残で、ラヴィの手足はフルフル震えていたが、まだ料理の途中だった事をやっと思い出した。
しかし、その身体はルーディに軽々抱きかかえられ、寝室に運ばれてしまう。
「ルーディっ、まだお料理の途中で……」
ラヴィをベッドに降ろし、ルーディが苦笑した。
「その身体じゃ、無理だろ。あとで俺が何か作るよ」
「あとで……?」
不穏な空気を感じ、ゴクリとラヴィは息をのむ。
「もう一回。いや、あと二回くらい抱いた後で」
「!!」
「俺はまだ足りない。もっとラヴィを食べたくて仕方ない」
とびきりニコニコ顔の狼青年が、じゃれつきながらおねだりを開始する。
「…………ぅ」
「ラーヴィ?」
「……ん」
なんてタチの悪い狼に掴まってしまったんだろう。
ラヴィの心へとびきり優しく噛み付いて、残さず貪りつくして飲み込んでしまった。