キッチンの悪戯狼(注意、性描写あり)-2
思わず首をよじって、ルーディを見上げた。
ルーディはなんだか、ものすごーく嬉しそうな顔で、ニヤニヤ笑っている。
「下を触らないでイけたら、俺の言う事何でも聞くってのは?」
こういうタチの悪い笑みを浮べている時の彼は、たいていろくな事を言い出さない。
いつもはすごく優しいくせに、信じられないほど意地悪くなるのだ。
それでも、ラヴィが本当に嫌がる事はしない。そこがまた困った所だった。
どんなに恥ずかしい事を要求されても、結局ラヴィは受け入れてしまうのだから。
「……ヤダ」
「十分の制限時間付きで」
「……ダメ」
「出来なかったら、俺がラヴィのいう事を何でも聞くけど?」
「……」
結局、頷いてしまった。
いくらなんでも、そんなに敏感なわけはないし、ちょっと痛い目を見てもらうのも良いかもしれない。
一週間の禁欲でも言い渡そうと、ラヴィはほくそ笑む。
「ニマニマしちゃって、余裕じゃん」
「あっ」
くるんと身体の向きを変えられ、テーブルの上に押し倒された。
それでもラヴィが頭をぶつけないように、しっかり腕でガードしていてくれた事に気付く。
組み敷かれたままルーディを見上げると、とても愛しそうに口づけられた。
「ん……ふ……」
唇を舌で柔らかくなぞられると、それだけで簡単に解けてしまった。
侵入してきた舌は、ラヴィの一番大好きなやり方をちゃんと心得ていて、上あごの縫い目や歯列を、絶妙な手順で愛撫していく。
卑怯にもほどがあるキスだ。
思考がとろとろに溶けて、硬いテーブルの板も、ここがキッチンなのも、まだ明るい時間なのも、どうでも良くなってくる。
唇を合わせ、甘く舌を絡ませられる感覚に酔っていると、いつのまにかエプロンとブラウスのボタンが全部外されていた。
「っ!?」
「さて、頑張るとしますか」
ニヤリと笑った狼青年の口端から、鋭い犬歯がチラリと覗く。
早まったかもしれない……そう思った時には、もう遅かった。
すでに固く尖っていた乳首をペロリと舐め上げられ、喉が反り返る。
「ぁん!!」
身体の傷はすっかり完治し、痕も普段は殆どわからないが、興奮してくるにつれ、しだいにうっすらと赤い線が斜めに浮かびあげってくる。
乳房の片方にもかかっている線を、なぞるように舐められると、身体が勝手にビクビク引きつる。
頬のもそうだが、傷痕を舐められるのに、ラヴィは弱い。
「ん、ん、ふぁっ!あ、あ……」
コリコリと片方の乳首を指で刺激されながら、もう片方を口に含まれて、思うさま弄ばれる。
熱心に吸い付かれ、指で舌で嬲られ続けた胸の飾りは、真っ赤に熟れきって、じんじんと疼く。
身悶えしても、力強い腕はしっかりラヴィを押さえ込んで、苦しいほど甘ったるい拷問から許してもらえない。
「は……はぁ……ん……」
気持ち良いのに、足りない。ほんの少し足りない。
もっと……もっともっと欲しい!!
中途半端な快楽は飢餓感を深めるだけで、苦しさにポロポロ涙が零れる。
達してしまえば負けなのに、意志と無関係に、最後の一押しを欲しがって腰が揺らめく。
いっそ負けても良いから、楽にして欲しい。
なのに、ルーディはそこには触れてくれない。
チラリと壁時計に視線を走らせると、まだ五分しか経っていなかった。
「ふぁ、あぁ、あ……るーでぃ……っ」
涙声で、暗灰色の髪をかき抱いて喘ぐ。
やりたい放題に胸を弄りまわされ、貪欲な胎内が、ヒクヒクと痙攣を繰り返し始める。
熱い愛液は溢れ出し続け、下着はとっくにグチャグチャになっていた。
背筋がゾクゾク震え、つっぱった両足に力が入る。
「あ、あふっ、あ……ああ!!も……やぁ……おかしくなっちゃ……」
「ラヴィ……」
不意に耳元で囁かれ、カプリと耳朶を甘噛みされた。
焦らされ過ぎていた身体に、不意打ちの刺激は予想以上にこたえた。
「ひゃぅんっ!あ、あ――――――っ!!!!」
身体が弓なりに仰け反り、ビクビクと激しく痙攣を繰り返す。
達してしまった事を、これ以上ないほどはっきりルーディに知らせてしまった。