カウントダウン-1
この夜、ゆっくり眠れたのはティーダとエデンくらいだろうか・・・
目を覚ましたアオイは頬に感じる温かさに目を向けると、恐ろしいほど整ったマダラの顔であることに気が付いた。
「・・・っ!!」
思わず声をあげそうになり、口元を押させた。(い、いけない・・・っ)
思えば眠りについた時間はかなり遅く、マダラのお陰で自分はゆっくり眠れたが、マダラを巻き込んでしまったため彼自身寝不足に違いない。夢の内容ははっきり覚えていないものの・・・何か一悶着あったような気さえする。
テラスに出て朝の光を浴びる。
まだ靄がかかったような頭の中を整理しようと遠くをみつめた。
(夢の中で・・・誰かが私に早く戻ってこいって言ってた・・・)昨夜、エデンから聞いた神官の名前と似ている気がする。
視線を下げるとカイが剣をふるっているのが見えた。疲れたような顔をしている。
(カイ・・・・)
アオイは深呼吸して手の平に癒しの光を集めた。覚醒前と比べものにならないほどの癒しの光が一瞬にして集まる。
そのまま頭上へ手を持ち上げてシャワーのように光を飛ばした。
キラキラと朝日に輝いて悠久の大地にアオイの力が行きわたる。
体中にみなぎる癒しの光を感じてカイが顔をあげた。
「・・・・アオイ姫様」
(・・・圧倒的な力だな・・・さすが人界の王というべきか)
癒しの光がマダラを優しく包み込む。体に溶け込むアオイの優しい力が彼を満たしていった。
アオイが視線を感じて振り返ると、マダラが頬杖をついてこちらを見ている。
「マダラ様おはようございます」
律儀にお辞儀をしてアオイが近づいてくる。穏やかに微笑む彼女は妙に大人っぽくみえ、ドキリとした。
ゆっくり起き上がるマダラは胸元がはだけ、アオイの顔は真っ赤に染まった。
目をそらしながら、マダラの胸元を整えるアオイが面白く思わず笑ってしまった。
「床を共にした相手にそれはないだろう?」
「・・・・なっ!!」
ますます耳まで真っ赤にしてアオイが口をパクパクさせている。(ああ、誤解するような言い方だったか・・・)と、それでも笑いを堪えられず肩を震わせるマダラ。