狭間で・・・-1
片腕で葵を抱き寄せ、九条は聖剣を振りかざした。
と、同時に爆風が吹き荒れ、次に剣圧が刃となって前方にいるキュリオとエクシスに向かった。
「やめてっ!!九条!!!!」
(私はこの人の・・・九条の強さを知っている・・・いくらキュリオやエクシスが強くても無傷じゃ・・・済まない!!!)
見えない壁は九条の一撃でいとも簡単に破壊され、なおもその衝撃はおさまらずキュリオとエクシスに襲いかかった。
エクシスの矢が激しいオーラをまといその衝撃の中心を射抜いた。九条の一撃ははじけ飛び、周囲の建物めがけて分散され崩れてゆく。
『・・・貴様が神官のひとりか・・・』
九条を見下すエクシスの瞳は凍りつくほど冷たいものだった。
「違うのっ!!彼は悪くないっ!!」
九条の前に立ちはだかる葵は必死に訴えた。
「私が・・・私が早く人界に戻らないから・・・・・全部私が悪いんです」
大粒の涙を流して葵は俯いた。震える肩を九条は優しく抱きしめ・・・ようとしたそのとき。
九条の背後からキュリオが現れ、神剣を振り下ろした。
「・・・人界さえなければ・・・っ!!」
「だめっ!!!やめて・・・っ!!!!」
伸ばした手が届かない・・・間に合わないっ!!!
その時・・・空が、大地が鏡のように割れて・・・その場にいた4人の意識が遠のいた。次第に薄れていく意識の中でため息交じりのマダラの声が聞こえる。
「まったく・・・・眠っているときくらいゆっくりやすませてやれないのか・・・」
マダラの優しい手が葵の額に触れた。
「・・・良い夢をアオイ」
マダラの腕の中で彼に守られながら、今度こそ誰に邪魔されるもことなくアオイは眠りに落ちて行った。
「・・・・・あれが人界の神官、九条か・・・」
マダラはエクシスの夢を渡り、アオイの夢に接触したエクシスからアオイの夢へと移動した。(だが、キュリオまでいたのは予想外だ・・・)
そして・・・
(まさか神官がアオイの夢に入り込むとは・・・・・強制的に眠る記憶を呼び覚ましにきたな)
本日何度目かになるため息を零しながら、マダラはアオイを見つめていた。