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汚れた教室 〜教室長マヤの日常〜
【レイプ 官能小説】

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真夜中の告白-5

「もういいわよ。ほら、いつまでもそんなところに座っていたら、せっかくのスーツがシワシワになっちゃう。こっちに座って一緒に食べよう、ね?」

「はい、すみません……」

「もう謝らなくていいってば。それより、わたしはこの袋の中身のどれを食べたらいいの?」

「あっ、そうだ、えっとこっちの大きいほうが『期間限定の豚の角煮まん』で、こっちが『えびチリまん』……僕はどっちでもいいです。先生がすきなほう選んでください、それからコーヒーが先生ので、ココアが僕ので、あとプリンは2個あるからひとつずつ……この『窯出しプリン』がまた先月発売されたばっかりなんですけど、めちゃくちゃ美味しいんですよ、それから……」

 大げさな身振りを添えて熱心に商品の説明をする様子がおかしくて、マヤは飽きずに久保田の説明を聞き続けた。年齢はさほど違わないはずなのに、なんだか我が子を見ているような気持ちになる。大学に入ってからひとり暮らしを始めたという久保田の食生活は、ほとんどコンビニと学食に支えられているらしい。

「ねえ、普段からこういうのばっかり食べてるの? 料理とか、しないの?」

「はい、料理とか掃除とか苦手なんです、本当に。学部生の頃からずっと実験で忙しかったし、空いた時間はバイトしてるし、部屋にいる時間はゲームとかパソコンやってたらあっという間に過ぎちゃうし……」

「なるほど、久保田くんらしいなあ……そうだ、さっき帰り際に言ってたじゃない、友達に女の子紹介してもらうとか何とか。恋人に料理作ってもらうって良いんじゃない?」

 むしゃむしゃとパンを口に運びながら、久保田が少し間をおいてから答えた。食べるスピードが速い。コンビニの袋いっぱいに入っていた食べ物があっという間に消えていく。

「いやあ、仮に彼女がいたとしても、来てもらえるような部屋じゃないですし……それに、いまは自分のことで精一杯で、あんまりそういうの考えられないっていうか、はい、そんな感じです」

「そっか。でも久保田くんって一緒にいると安心できるところあるし、そのうちすごく素敵なひと見つかるよ」

「あ、あの、先生」

 ココアを握りしめながら、意を決したように久保田が身を乗り出してきた。思わずマヤが一歩退く。

「なに? 怖い顔して」

「あの、僕とデートしたら楽しそうって言ってくれましたよね? あれ、本当にそう思いますか?」

「え?」

「その、僕がもし、先生をデートに誘ったら、OKしてくれますか?」

「デート、ね……」

 まだ一度も女性と付き合ったことの無い久保田に対しては、生徒の父親たちを相手にするのと同じようにはいかない。何よりも、社長のことや自分の抱えるどろどろとした者の中に、久保田を巻き込みたくなかった。久保田がマヤに向ける気持ちは、どちらかといえば恋愛感情というよりも、年上の女性に対する漠然とした憧れのようなものではないか、とマヤは思う。真っ直ぐで純情なその気持ちを弄べるほど、悪い女にはなりきれない。


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