女王様の命令は絶対です <中編>-6
「ふえぇ…… ど、どうしよう?」
「ね、姉様っ キャラが崩壊しています……」
「キャラなんてもとから無いわよぉ〜 このままだと私………… 隆に嫌われちゃうの?」
ぐすぐすと今にも泣き出しそうな勢いでユイにすがる私。
噂は所詮噂でしかなく、隆なら言えば誤解もすぐ解けるのだろうけれど、
自分もまたどこかいい格好をしてきた節もあるため、どうにもいまさら言い辛い。
「大丈夫ですよ? 噂通りのビッチならまだしも、真実は真逆なのでしょう?」
「うぅ…… ビッチって言った? じゃぁユイちゃんはずっと私をそう思っていたわけ?」
「ち、違うですっ 言葉のアヤです!」
思わず口をついたユイの言葉に私はいっそう涙を溜めた。
確かに噂通りの私なら、たいそう経験豊富な女に見られていても不思議は無い。
けれど、大好きな人にまでそんな事を思われているとしたらやっぱり…………
「でも………… 私は姉様がまだ未経験だと聞いて嬉しかったですよ?」
「ぐす…… 嬉しい?」
「はい。だって未経験と言う事はつまり色々初めてなわけでしょ?」
「今日だって…… ぐす…… いろいろ初めてづくしだよ…………」
「あは、好きな人の初めてになれると言うのは…… それはとても嬉しいものですから……」
女同士で、しかもほぼ全裸の状態で抱き合いながら、
自分より二つも年下であるユイに慰められる私。
それはとても恰好悪くて、普通ならまともに耳も貸せないくらい逃げ出したい衝動に駆られるけれど、
不思議とユイの言葉は私を落ち着かせ、いつも胸の奥へと綺麗に刺さる。
「ホントに? 私、女の子とこんな事したのも初めてだけど………… ユイちゃん嬉しい?」
「も、もちろんですっ 私が姉様の初めての女なんて…… この上なく幸せです♪」
そう言ってユイは笑顔で私の頬にキスしたかと思うとまた、
胸を優しく撫でながら、じゃれつくように足を絡め始めた。