女王様の命令は絶対です <中編>-5
「は、恥ずかしい話だけどっ…… この歳で私………… まだ…… なの…………」
「う、嘘です!絶対ウソ!!! あんなにおモテになるのに…………」
「い、いやだからっ…… モテるかどうかなんて知らないけどっ………… し、処女なのに変わりないの!」
私がはっきりとそう告げるも、いまだ信じられないといった表情のユイ。
「じゃぁ…… た、隆ともまだ?」
「う、うん…………」
「あんなスケベな男が………… 姉様に手を出さないわけないでしょうに?」
「その………… 途中まではいいんだけど………… いざとなったらいつも恐くて…………」
ユイは眼をぱちくりさせながら、少し呆れ気味な顔で溜息をつくも、
擦り寄るように体を密着させては話を続けた。
「姉様がはじめてだって………… 隆は知っているのですか?」
「うん?どうだろう…… 言ってはいないけど…………」
「ではきっと私と同じで、そんな事微塵も思ってないと思います」
「えぇっ! 私ってそんなに…… 経験ありそうに見えるの?」
「…………よもや童貞少年が土下座して筆降ろしをお願いしたいくらいに」
私はユイの言葉に大きなショックを受けた。
確かに男子からのエッチな視線を感じた事は少なくもないが、
まさかそんな目で見られていたなんて…………
「あれ? だとすると隆は…………」
「はい…… 焦らされてると思うか、はたまた私のように嫌われてると思うのが普通かと……」
「えぇっ!!! そうなのっ?」
「はぁ………… やっぱり鈍感は罪です…………」
他人から見た自分というものは、思っていた以上にズレが大きい。
隆の事は大好きで、いつだってこの身を捧げることに迷いは無いのだけれど、
いざとなったら恐くて勇気がでず、つい優しい言葉に甘えては先延ばしになっている……
でも、よもやそれが焦らしてるとか、嫌われてるなんて思われてるのだとすると、
意志の疎通など夢のまた夢、片思いの日々となんら変わらないではないか。