募る想い-1
エクシスに求められベッドに背を預けるアオイ。愛しげに頬をなでられて、これ以上ないくらいの甘い口付けを落とされる。
(人界へ戻ったら、もうこの世界に帰ってこれない・・・・私は・・・エクシスのこの気持ちに応えることは出来ない・・・ティーダ様もキュリオも・・・・)
「だいじょうぶだよ・・・
エクシスはもう"無"じゃない。この瞳も心も・・・これからたくさんのことに愛を見いだせる」
アオイは泣きたくなる気持ちを抑えてエクシスの目元に手を伸ばし、笑った。
『・・・人界へ戻らねばならぬと、余計なことを考えているのではあるまいな・・・』
考えを見透かし直視され、思わずアオイはエクシスから目を背けた。
『・・・言い方を変えよう。
もし、お前が人界の王でなく・・・この世界に生きるただの人だったら・・・我の傍にいることも考えたか・・・?』
新たな質問を受け、アオイは驚いたようにエクシスへと視線を戻した。
「わたし・・・私は・・・・・キュリオのことが・・・」
自分に言い聞かせるように目を閉じてキュリオの姿を思い出す。その中にエクシスの姿が重なり、ティーダの姿まで現れては消える。
ほのかな恋心を抱いた三人の王への気持ちはアオイにとっていずれも忘れられぬ大切な想いとなっていた。
エクシスの問いにうまく答えることができずに、首を振ったアオイは
「ごめんなさいエクシス、その問いに答えることは出来ません」
『・・・お前の気遣いは時として・・・我を傷つける・・・』
キュリオの名を出したアオイが、自分のことを気遣って返事をうやむやにしたと彼は勘違いしているようだ。
「それは・・・ちが・・・・っ」
アオイが弁解しようと起き上がると、エクシスは振り返りもせず部屋を出て行ってしまった。
うまく言葉を伝えられなかったアオイはひどい脱力感に襲われうなだれた。
「・・・ごめんなさいエクシス・・・・」
力なく窓辺に歩き、月を眺めると・・・
人界から帰ってきたであろうエデンの姿が見えた。
(望んではいけない・・・この気持ちはもう私だけの心の中に・・・)
目を閉じたアオイの頬を熱い涙がつたっていった。