若き富田林氏、制裁の時-3
「それはそうと銀次よ、お前ホンマに特性コーヒー飲んだんか?」
オレはチョット期待しながら聞いた。人の不幸は蜜の味やがな〜♪
「そんなん飲むワケないやんか!」
なんやしょうもな〜、ガックリやんけ。
「お前、アレがポットに入ってるってよう気ぃついたのう、普通はイチイチ中まで見ぃひんで」
「今オレらの学校で流行ってんねん」
「なんやそれ?ポットに入れることがか」
「そうそう、しゃーからオレらはポットのお湯なんか絶対に使わへんもん」
「しょーもないこと流行らしよんのお、レベル低過ぎるでお前の学校。アホ学校のクソ学校やな」
「亀やんくんも同じやで」
「ホンマや…」
「ゲームみたいなモンなんや、仲間内の誰かが残したヤツをホテルが見落としてみ、それを見つけたヤツの裁量次第でホテルから小遣い貰えるっちゅう寸法なんや」
「そんな宝くじみたいなこと滅多に有るかいな」
「そうそう、滅多無いからビックリしたわ。それでチョット張り切りすぎてしもてん。まさか亀やんくんが来るとは思わへんかったわ」
「何が張り切り過ぎたじゃボケ、声色も変えやがって」
「結構ドス効いてたやろ」
「アホンだら!しょうもないことばっかりしやがって、だいたい停学中に女と一発するとは100万年早いんじゃボケ!」
「そう言うたかて若いエネルギーは止められへんねん」
こ、こいつ、オレらの時代は家で大人しくエロビデオ見てたのに、なんちゅう羨ましい〜。まあええ、どうやってこの始末つけたろかい?まず、この部屋はこいつに片づけさせなアカン。取りあえずフロントに電話して掃除機持ってこさせなな。
「亀やんくん?」
一番の被害者はオレや!オレが得するようなプランを考えなアカンで。なんかええアイデア無いかな?
「亀やんくん、どうしたん?」
こいつにフロント電話させて、お詫びの金持って来させてオレのモンにするっちゅうんはどうや?イヤイヤアカンな、あのオクレ社長は後でオレから回収しよるな…
「亀やんくん、何固まってんのん?」
う〜ん、なんか無いかな?そや!ホテルにはサービス券みたいなヤツが有るはずや!それを束で持ってこさせて、後で売り捌くんはどうやろ?う〜ん、やっぱりその分オレの給料から引きよるで……
「あっ!か、亀やんクン、それって…」
そや!こいつの部屋代を無料にするくらいやったら流石のオクレ社長でも許すやろ!オレがこいつから部屋代徴収してフロントに内緒にしたらええやんけ。ええ考えや!しゃーけどこれだけやったら納まりつかんのう………
「か、亀やんくん!何するんや!」
そや!こいつを放りだして、奥に隠れてる女と一発するっちゅうんはどうや!こんなしょーもないヤツより女も喜ぶんちゃうかな。うひひひ、ムッチャええ考えちゃうのん♪うんうん、この線でええな。これで決まりじゃボケ―――!
ふ〜〜〜、頭使たら喉渇くで。ゴクリ………
「ゲ――――ッ!の、飲みやった!ウエェ〜〜〜、気持ち悪〜〜〜」
「お前さっきから煩いんじゃ!一体何を騒いどんじゃボケッ!」
「か、亀やんくん、その手に持ってるのん、何か知ってる?」
「手に持ってるのんて?何言うてん、ん、んん?ゲ――――ッ!」
「ト、トイレこっちや!」
「ど、どけ―――――!」
…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
にいちゃん、これがこの騒ぎの顛末や。
涙なくしては語られへん話なんやで。ホンマはクレーム男がまっつんの弟やと解ったところで話を終わらす予定やったんや。しゃーけど、さっきにいちゃんが謝ってくれたやろ。しゃーから恥を忍んで封印してた話までさせてもろうたんや。このことは銀次もトラウマになった言うて誰にもしゃべってないねんで。
どやにいちゃん?苦労の多い職場やて解ってくれたやろ?苦労は買うモンやないでホンマ。楽して生きな損や!オレは一生コーヒー飲めんようになったんや。エライ損やでホンマ。
ここまで話したからついでに言うけど、この時に一番悲しかった事て、にいちゃん何かわかるか?
そうやろそうやろ、わからんやろうなあ。全部吐いた後にトイレットペーパーで口を拭ったんやけどな、オレはそのトイレットペーパーの端っこを無意識の内に三角に折ってたんや。
どや、にいちゃん、オレって悲しいほど律儀やろ?
あ―!にいちゃん!そこ笑うとこちゃうで〜〜〜!堪忍して〜な〜!
おしまい
あとがき
お食事中若しくは、コーヒーを飲みながらお読みの方ゴメンチャイ。
特にミルク入りコーヒーを飲まれている方は、十分味わって飲んでくださいませ。
ゲロゲロ…
作中に登場人物やその他の固有名詞は全てフィクションです。またラブホ内での作業内容も体験談では無くて全て想像の産物です………か?