若き富田林氏、危機管理方法-5
「イ、イタイ!メチャイタイ!頭打った、頭がメチャイタイ」
オレは防衛本能のままに叫んでいたが、それとは別に機能する自慢の理性が、今の一瞬の出来事を反芻した。そして、有ることに気付いたんや。
「な〜に〜?亀やんくんやと〜?」
オレは痛いのも忘れてそいつの方に顔を向けまじまじと見つめた。
「うわ、しもた―!」
「あっ、お前、まっつんの弟の銀次やんけ!」
一体これはどういうこっちゃ?
…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
どや、にいちゃん。意外な展開やろ!びっくりしたやろ!『ええ―!亀やん、そんな意外なことやったんですか!ボク全然読まれへんかったですわ!』て思たやろ♪
えっ?なんやて、途中でモロバレやったてか?な、なんでやねん!暇を飽かせて練りに練ったオレのしゃべりがか………
に、にいちゃん!一体どこがアカンかったんや?教えてくれ、いや、教えてください、ホンマお願いしますわ。
えっ?土下座しっぱなしで、途中で相手の顔を一回も見いひんのがおかしいて。しゃーけどにいちゃん。あんな状況で相手の顔なんて見られへんで。こっちには目ぇ見たら『何メンチ切ってんねん!』て凄むヤツやという先入観があるんやで。そら無理やわ。
にいちゃんやから正直に告白するけど、ホンマは土下座しながら3回目もチビっててんで。さすがに恥ずかしいから言わへんかったのに、そこ汲んで欲しいわ。
そうかあ、にいちゃんがそんなに言うなら話面白くすんのに内容変えなアカンなあ………
って、アカンやん!そんなんやったら虚偽になるやんか!にいちゃん、オレは富田林亀太郎や!ウソ話なんて出来るかい!