若き富田林氏、最大のピンチ!-1
ごめんごめん、昨日はあのまま寝てしもたんやなあ。
えっ?『この後にもっとトンでも無いことが起こったんやでぇ――――』て言うたきり、何も始まれへんからビックリしたてかいな?そら失礼しました。
ほら、オレて人前でしゃべるの苦手やろ。多分、にいちゃんを前にして毎晩緊張してたんとちゃうかな?その疲れが溜まってたんやと思うわ。
にいちゃん、チョット待ちいな。シャイなオレが勇気を持って心の恥部をさらけだしてんねんで。チョットくらい大目に見て欲しいわ。
にんちゃん、そんなん言うんやったらオレもうしゃべるの止めとくわ。
えっ?もうしゃべらんでもええて?にいちゃんそれ言うたら終わりやろ!
わかったわかったわかりました!誤ったらええんやろ。ゆ・る・し・て・く・だ・さ・い!これでエエか?えっ?謝罪は受け取ったてか。これで十分やろ?
はいはい解りました。お願いの言葉な。わ・た・し・の・は・な・し・を・聞・い・て・欲・し・い・デ・ス!
これでええか?ホンマ度量の狭いにいちゃんやでぇ。イエイエ何も言うてませんて。
さっ、にいちゃんも聞きたそうにしてるし、今日も頑張ってしゃべるか―――!
…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
掃除が一通り終わり控室に戻ったオレは、どっと気疲れを起こしてヘタリり込んだ。
「亀やんどうやった?メチャメチャ簡単やったやろ♪」
そんなオレに無神経にも岸和田がドヤ顔をしながら聞いてきやがった。
このボケ!『ええ仕事紹介したったやろモード』全開のツラしやがって!
「アホ、一気に疲れてもたわ…」
「無神経なお前が珍しいのう」
「お前らと一緒にすな、オレは繊細なんじゃ。ああムカムカする気持ち悪…」
「あっ、そうか!お前セコいからラブホテル行くたんびにコーヒーやら茶やら目一杯飲んでてんやろ。それ思い出して気分悪いんちゃうか?」
「アホ、セコいんは関係ないやろ!当然のサービスの享受やんけ。まさか前の客の使用済みタオルでコップ拭いてたなんて思うかいな…」
オレはそう言いながら、数少ないラブホテル経験を振り返った。アカン、いつも損せんようにサービス品、目一杯飲んでたがな…
「うっわ、きっしょ―!こいつおばはんのエキス入りコーヒー飲んどったんや〜〜!」
ニヤニヤしながら松原はここぞとばかりに攻めてきやがった。相変わらず相手の弱みを見つけたらトコトン来よるで。成人してもレベルの低いヤツに有りがちな性格は健在かい。
「それやったらまだええやんけ!もしかしたら、ジジイがチ○ポ拭いたタオルやったかもしれんど!ジジイの精子入りコーヒーちゃうか?うっひゃっひゃ」
泉大津も尻馬に乗ってきやがった。こいつパシリングやった時の反動かい!
「イヤイヤ、ジジィとババァのミックスジュースじゃ!」
な、なんちゅうことを!こいつら、もう我慢出来ん!
「おのれら!だあって聞いてたら好き放題ぬかしやがって、ええ加減にさらさんかい!」
しかし、岸和田はオレの怒りを敏感に察知し、「まあまあ落ち着きなさい子羊よ」と、ワケのわからんことを言ってオレの気を逸らせようとしよった。