若き富田林氏、刺激的な初仕事-3
「はぁはぁはぁ、皆生きてるか?」
なんでこんなエライ目にあわなアカンねん。これやからレベルの低いヤツはイヤやねん。
「はぁはぁ、今、ピクピク動きよったで。なんとか生きてるみたいやな」
岸和田にビンタを入れながら松原が言いよった。
動いたんなら岸和田は大丈夫やな。泉大津は?
うっわ、ニヤニヤしながら天井の一点を見とるがな…。こっわ〜〜!こいつは危険人物や…。
「ア、アカン…。どうもここは人間性を失ってしまうような気がする」
悪いモノを落とすように頭を振りながらオレは言った。
「フ―――!しゃーけどなんで、ラブホテルで男同士が乳繰り合わなアカンねん。オレ女がええ」
松原、全くその通りやがな…
「こら、岸和田、目ぇさませ!」
「う〜ん…。ん?ここどこや!」
「しょうもないこと言うてたら、泉大津が出るぞ!」
「や、止めてくれ―――!オレが悪かったんや!泉大津、キッチリ成仏してくれ―――!」
「アホ!もうええわい」
「岸和田、お前らの高校ってこんなことばかりやってたんかいな?」
「まあ、私立の男子校やからな」
「私立の男子校でアホ学校やからやないけ!」
ここは指摘しとかなアカン。
「お前も似たり寄ったりやんけ!」
「まあ、否定はせん」
どっかで聞いた会話やな。
「しゃーけど岸和田、話ぜんぜん違うやないか!メチャメチャ重労働やんけ!」
オレは騙されたかもしれん。
「亀やん、お前の脳ミソ沸いてるやろ!まだいっこも仕事してないぞ!」
「ホンマかいな!これで仕事したら保たへんで…」
…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
どや、にいちゃん、大変な職場やろ!なに?これで金もらえるんやったら、オレもしたいてか!まあ、そやな。今しゃべっててオレもそう思ったわ。
しかし、本当の過酷さはここからなんやでぇ―――