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若き富田林亀太郎の青春
【コメディ その他小説】

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富田林氏、塀の中で過去を語る-1

おっ!新入りさんやな。まあ、そんなとこに立ってらんと座りいな。遠慮せんとここおいで。

はいはい律儀さんやな、そんなかしこまらんでええて。

オレの名前は富田林亀太郎や。よろしゅうに。

えっ?珍しい名字てか?そうやろそうやろインパクトあるやろ。しゃあけど、にいちゃん聞いてや、こんな由緒正しいカッコええ名字が有るのに、ツレはオレのことを「亀やん」て呼びよる。

『もうちょっとスマートな呼び名は無いんかい!』とツッコミたくなるやろ?

しゃーけど幼稚園の頃からそう呼ばれて、小学校に入っても、中学、高校と環境が変わっても、オレの呼び名は変化せえへんかった。

まあ、一種のアイドル的呼称と考えて、我慢せなしゃーないんかな。にいちゃんも『亀やん』て呼んでもええで。イヤイヤ遠慮せんでもええ、一緒の部屋に入れられた仲やないか。にいちゃんも当分出られへんねやろ、仲良うしようやないか。

何してここに入ったかやて?余り自慢したくないねんけど、悪いヤツに天誅くらわしたったんや!チョットやりすぎたてしもてんけど…

どんな悪いヤツやったかやて?ま、まあええやんけ。そやそや、自己紹介の続きせなアカンな。オレは今では自他ともに認めるナンバーワン営業マンやけど、こんなオレでも苦労した修業時代ちゅうもんが有ったんやで。

にいちゃんも頭良さそうやからこの言葉知ってるやろ?

【若い頃の苦労は銭を出してでも買え】

どや、スンごく含蓄のある言葉やないか! にいちゃんもこの言葉聞いただけで『ホンマ勉強なりますわ、人生航路これで乗り切れますわ』て思えてくるやろ。これから人生を歩むモノにとって、この言葉はずっしりとくるわなあ。そうやろそうやろ。

(しばしの沈黙)

ウソや…

何がて?この言葉やがな。一読すると含蓄のある言葉やけど、どう考えてもアホらしい話やわな。苦労せんとトントン登った方が楽やん。苦労した分マイナスからのスタートやん。その証拠にオレ散々苦労したのにまだ社長にもなってないがな。イヤイヤ社長どころかヒラ社員のままや。オレみたいな出来るヤツがやで!

この言葉は前途有望な若人の芽をつぶすための言葉やと思うわ。にいちゃんもオレ見てそう思うやろ。素直でまじめなオレは、その言葉が大人の都合やと知らず、ワザワザ苦労を買うてた訳や。今やったら絶対に買わん!アホらしい!楽するんが一番や!

せっかくの苦労話、オレの胸の内に仕舞って置くのは勿体ないから、にいちゃんに教えたるわ。遠慮せんでもええて、イヤ、同室のよしみで教えさてもらいますわ。

そうか、そんなに聞きたいんやったらしゃーないわ。教えたろ♪

オレが買った最初の苦労は、オレが最初の会社を辞めてプー太郎してた時の事や。まあ自慢や無いけど最初の会社は一部上場のええとこやったんやで。一応な一応。

会社を辞めた理由?会社がぬるま湯過ぎたんや。ぬるま湯の会社やから上司は育たずアホばかり。オレのレベルに達して無いからオレの能力を使いきよらへんかったんや。

(しばし沈黙…)



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