Ones last moment-1
生まれてから
僕はずっと君と一緒だった
君は赤ちゃんだった僕を抱き上げて『高いたかい』、してくれた
それからぎゅうっと優しく抱き締めてくれた
嬉しかったよ
温かかったよ
それが最初の君との思い出
君は僕になんでも話した
何処でも行った
僕が寂しがると
何時でも抱き締めてくれた
おいかけっこ、君は風みたく速かったね
毎日が輝いて
楽しかったなぁ、川遊び
山には面白いものがいっぱいあって
暗い夜道も二人なら怖くなかった
家に帰る度、君は僕を撫でて『また行こうね』って言ってくれた
―…いつでも行けると思ってたのに
時が経つにつれ、
君は綺麗になっていった
おかっぱ頭の悪戯っ子じゃなくなっていった
何時からか僕だけのお姉ちゃんじゃなくなった
話を、してくれなくなった
お母さんと接する時間の方が多くなった
抱き締めてくれなくなった
名前さえ、呼んでもらえなくなった
寂しくて君を呼んでも、疎ましさを隠さない表情でちらりと見るだけ
君は大人になった
僕の心を置いて
ねぇ、
僕の方が早く年をとるけど
早く大人になるけど
早くお父さんになるけど
早くお爺ちゃんになるけど