Ones last moment-2
―――
―…早く死んじゃうけど
君と出来るだけ一緒にいたかった
名前を呼んで欲しかった
撫でてくれるだけで良かった
抱き締めて、昔みたいに
ある日、夢を見た
君の夢だ
あの、楽しかった時のまんまの君が、
僕から逃げてる
おかっぱの髪が揺れている
おいかけっこだ
おいかけた
おいかけておいかけて
捕まえると
小さな両手で僕をしっかりと抱き締めた
笑い転げて、柔らかい草の上でじゃれ合って――
そのままふわふわ、
僕は在りし日の君の思い出と一緒に
あの、若々しい草の匂いと共に
ねぇ、
君が僕なんて必要としなくなっても
僕は君が大好きだったよ
少しだけでも
君の中に僕が残れば…なんて、我儘なのかな
『――――!』
遠くで、君の呼ぶ声がした気が、した
温かい腕の感触も
嗚呼、僕は今
君の記憶の土へ還ろう