lecture-2
一方こちらは、家に向かうカップル。結婚の挨拶をしに行く相手が、玄関先でセックスをしてるとは夢にも思っていない。
「ところで恵子の両親て、どんな感じなんだ」
初めは行き当たりばったりで、面会に臨もうとした新司だったが、恵子の家が近づくにつれて緊張が高まり、少しくらいは情報を入れようと思い直したのだ。
「夫婦仲は凄くいいわよ。あたしにも優しいし。新司さんとあんな夫婦になりたいわ」
「恵子がそう思うんなら、いい親なんだろうな。でも恵子を見ていると、凄くスケベな夫婦しか想像ができないけどな」
新司は自分の緊張をほぐすために、恵子の尻を撫でながら少し茶化して言った。
「そうよ、二人とも凄くエッチよ。あたしの前でもエッチな事を平気で言うよ(三日前からだけど)」
「へー、普通は子供に隠そうとするけどなあ」
忠は恵子があっけらかんと『エッチ』と評した両親のことに興味が湧いてきた。
「あたしがエッチになったのも、両親のセックスビデオをこっそり見たからよ。それを毎晩見て溜まらなくなって、それで新司さんをオフ会に誘ったんだもの」
「本当か?凄い性教育になったもんだ。恵子は親のセックスって嫌じゃ無かったのか?」
「嫌じゃ無かったよ。それよりも凄く興奮してオナニーしちゃった」
「恵子らしいと言えば恵子らしいな」
新司は恵子のその様子を想像してしみじみと言った。
「あたしがそのビデオを見たって言ったら、セックスの話もオープンになったのよ」
「普通はギクシャクするもんだけど、それでオープンになるって凄い家庭だな。で、どんな風にオープンなんだ?」
「あたしの前でも平気でおまんことか、オチンチンとか言うのよ」
「凄い親だな…」
驚いた新司に恵子は追い討ちを掛けた。
「えへへ、あたしの方はね、おまんこの毛を新司さんに剃られたことを言っちゃった(本当は言う前に見せたんだけど)」
「へっ?」
新司の足が止まった。
「ん?どうしたの」
「ちょ、ちょっと待て!今何て言った?」
新司の常識では、交際の許可を貰うまでに自分の娘に手を出す男は、それだけで信用がガタ落ちになる筈だ。なので両親に対して、事前に娘の『性』の話が耳に入るなどは絶対にタブーだった。
ましてや、普通の親が陰毛を剃るほどのスケベな男に、いくら自分たちがどスケベだといっても、娘を託すとは到底思えなかった。
放蕩な性生活をして十数年。せっかく結婚をしたいと心底思った女性に出会ったのに、それが夢になるかもしれない。自分で自分のことを豪胆だと思っていた新司だが、この時ばかりは血の気が引くのを感じた。