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僕らの日々は。
【コメディ その他小説】

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僕らの日々は。〜台風来たりて。〜-5

……さて、ここでマンガや小説などでは『普段は元気な子が雷を怖がってやたら弱気になる』なんていう展開があったりするものだが……まぁ、まずその線は無いと断言できる。
だって一葉、基本的に雷とか鳴ってるの聞くとテンション上がるタイプだし。

……というわけでつまり、一葉が黙っている理由として考えられるのは、


「ねぇ春風、雷様っておへそを集めて一体何に使うつもりなのかしら……?」


こういう妙な事を考えている場合が考えられる。
いやまぁ予想通りというか何と言うか。

「おへそ……あぁ、そういえばあったね。雷様におへそを取られるから雷が鳴ったらおへそを隠しなさい、とかいう話」
「それよ。おへそなんて生まれる前にしか使わないじゃない?他人から取ってまで集める必要性ってあるのかしら?」

……ふむ。その手の話ってのは、何かしらの効果があるからこそ子供に言い聞かせるわけだ。
例えば、『夜中に起きてるとお化けが出るぞ』なんてのは、子供を怖がらせて早く寝かせるのが目的だ。

余談だが、一葉はそれを聞いて、お化けを見ようと頑張って一晩中起きようとしていた事があるらしい。結果は、我慢できずに途中で寝ちゃったそうだが。

「雷様がおへそを集める理由、ねぇ……うーん」
「おへその機能なんて生まれた後じゃ無いに等しいし……。それこそ見た目くらいしか……あっ」

そこまで言って、一葉はハッと何かに気づいたように顔を上げた。

「雷様のイラストって出べそが多いけど……まさか取ったおへそを吸収する事でおへそが巨大化して……!?」
「……いや、出べそにはそんな愉快な機能は無いと思うよ?」
「じゃあきっとあれよ、おへそを取られてのっぺりした人間のお腹を見て爆笑してるのね」
「嫌すぎる神様だなぁ」

その雷神様の笑いのツボがまるで分からない。というか明らかに性格歪んでるだろう、そいつ。

「あ、電気点いたね」
「そうね……よかった。長引かなくて」
「ほんとにね」

小さな頃は停電すると、意味もなくワクワクしたりもしたが……さすがにこの年になると、停電する事で生じるデメリットを考えてしまう。
個人的には冷蔵庫が使えないのが一番デンジャラスだと思う。腐ったら処分に困るし。

ふと時計を見ると、11時半を指していた。そろそろ日付も変わる。
普段ならまだ起きている時間だったりもするが……、特にやる事も無いので就寝を提案するか。


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