強き想い2-1
アオイを無言のまま見下ろすエクシスは彼女の指に優しく口付けた。
『・・・お前にこの気持ちをどう伝えたらよいかわからぬ・・・』
ため息交じりに、エクシスはアオイの肩口に顔をうずめた。体を預けてくるエクシスの重みに戸惑いながらも、アオイはエクシスの背をなでた。
「・・・ごめんなさい、逃げているんじゃないの。ただちょっと・・・・・」
『・・・ちょっと、なんだ・・・?』
顔をあげたエクシスがそのままアオイを見つめている。新緑を映したかのような美しい色の瞳に思わず見惚れるアオイ。
「ちょっと、心臓がうるさくって・・・ドキドキが・・・」
言葉にならない言葉をアオイが紡いでいると、エクシスはアオイの胸に顔をつけた。
「・・・エ、エクシスッ!!あ、あの・・・っ!!」
『・・・お前の命の鼓動はとても良い音色だな・・・』
目を閉じながらエクシスは続ける。
『・・・人界など滅んでしまえばよい・・・』
『・・・アオイを傷つける者も苦しめる者も・・・お前を愛する者さえ・・・・我は許せぬ・・・』
「そ、それは・・・」
『・・・我とともに精霊の国で暮らさぬか・・・?』
『・・・もう一刻も離れたくはないのだ・・・夜が来るまでお前を腕に抱き、眠りについたら夢の中でお前を抱きしめよう・・・』
「エクシス・・・」
キュリオやティーダとはまた違ったエクシスの愛情表現にアオイは彼独特の愛の深さを感じる。
エクシスの顔が近づき、唇が触れる直前に名前を呼ばれる。
『・・・アオイ・・・』
そのままゆっくりと唇が重ねられ、アオイを求めて止まないエクシスの心のように次々と降り注いでくる。
ふと、エクシスの唇が離れ彼の濡れた瞳と視線が絡んだ。手をつかまれエクシスの胸元へ指先がふれる。
「エクシスの心・・・とてもあたたかい・・・」
指の先からエクシスの鼓動を感じ、アオイは心地よさに目を閉じた。
アオイのその仕草にエクシスは目を細め、アオイの体を抱きしめた。
『・・・お前に出会うまで我の心は何も感じず、何も求めてはいなかった・・・』
『・・・お前を想うようになってから・・・目にするものが愛しくもなり、憎くもなった・・・』
『・・・お前がいなくなれば我はまた何も感じなくなるだろう』