マヤの隠れた愉しみ-4
「このシート、すごくほかほかして気持ちいいですね。床暖房みたい」
「あはは、床暖房って、面白い表現をされるんですね。このシート、冬は重宝します。いやあ、本当に今日は申し訳なかった。ユリアのことで、またこれからも相談させていただいてよろしいですか?」
「ええ、わたしでよければ。こちらこそ、送っていただいて返って申し訳ないと思っています」
マヤの自宅まで20分ほどの時間、高峰はユリアの話から自分の仕事の話などを巧みに織り交ぜてユーモアたっぷりなおしゃべりでマヤを楽しませた。さっきまでの深刻さから解放され、マヤもすっかり気分が良くなってまるで昔からの友人と話しているような気安さを感じた。
その日から、高峰は3日に一度のペースで深夜に教室を訪れるようになり、そのたびにマヤを自宅まで送り届けた。そして何度目かの帰り道、いつものように車を降りようとするマヤの腕を高峰が引き寄せ、見つめ合い、どちらからともなく唇を重ねた。罪悪感は無かった。むしろ旦那と子供をないがしろにして遊び呆ける高峰の妻に、形を変えた復讐をしているようで興奮した。高峰の腕が背中にまわされ、マヤもまた自分の手を高峰の頬にそえた。低く押し殺したような声で高峰が囁く。
「君が欲しい」
「……誰にでもそんなことを?」
「違う、君にだけだよ」
「奥さんがいるのに?」
「もう僕たちの夫婦生活は壊れている。……僕が相手じゃ、嫌かい?」
「嫌じゃないから、困るの」
予定調和のような甘い言葉の応酬。高峰はマヤをホテルに誘い、マヤはそれを受け入れた。平日の夜、空室のあるホテルを探すのに苦労は無かった。部屋に着くと高峰はいきなりマヤを背中から抱き締めて首筋に唇を寄せた。
「あっ……」
目を閉じる。これ以上ないほど傲慢な態度でクレームをつけてくる高峰の妻の顔がよぎる。喚き散らす声が耳の奥で蘇る。いい気味……あなたのご主人、今こんなにわたしのことを欲しがっているわ……
「綺麗だよ、先生……」
「先生はやめて、マヤって呼んで」
「ふふ、可愛いね、マヤ……」
シャツのボタンが外され、ブラの隙間から素肌に触れられると、それだけで全身が震えた。尻に押し付けられた高峰の男の部分が熱く猛っているのがわかる。高峰は性急にマヤのスカートを捲りあげ、パンティを引き下ろした。両足を開かされ、足の間に指を入れられる。じんじんと痺れるその部分に、高峰の勃起したペニスの尖端がマヤの内部に潜り込んでくる。
「あああっ……そんな、いきなり……」
「ごめんね、あんまり可愛いから我慢できないよ……ほら、君の方もこんなにぐっしょり濡れてる……力を抜いて……」
高峰のそれは社長のものほど大きくはなかった。それでも、正面の鏡に映る自分の姿……高峰に背後から腰を抱き寄せられて挿入される姿を見ると、それだけで絶頂に達しそうなほどの快感が押し寄せてくる。ぐっ、ぐっ、と高峰が奥を責めてくると、それに合わせて恥ずかしい声が出てしまう。