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汚れた教室 〜教室長マヤの日常〜
【レイプ 官能小説】

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マヤの隠れた愉しみ-2

 ポットのお湯、の部分でユリアの痣が火傷の跡だとわかった。きちんとケアされた様子は無い。範囲は狭いが、確実に消えない跡が残りそうに見えた。知らないおじさん、のくだりはおそらく不倫相手だろう。ユリアの母親が浮気をしているらしいというのは、すでに複数の母親たちから噂話として聞いていた。不倫でも浮気でも勝手にすればいいが、子供に火傷を負わせたのを放置して男に走るというのは、さすがにその神経がわからなかった。頭に血が上りそうになるのを堪える。

「そう……ママはもうおうちにいるかな? ちょっとお電話してみるね……」

「ママ、おうちにいないと思う。えっとね、これでお電話したらママが出るの」

 ユリアが首からぶらさげた携帯電話を差し出す。履歴に残っている番号はふたつしかなく、どちらかが母親で、どちらかが父親の番号らしい。片方の番号にかけてもコール音が鳴るだけで誰も出ず、もうひとつの番号にかけると父親らしき男が出た。

『もしもし?ユリアか?』

「あ、お忙しいところ申し訳ございません。わたくしユリアちゃんが通われている塾の水上と申しますけれども……」

『ああ、塾の先生ですか。いつもユリアがお世話になっております。どうかされましたか?』

「ええ、あの……ユリアちゃんが、その、背中が痛いとおっしゃって……とても授業を受けられるような状態ではなさそうなので、ご連絡させていただきました。もしよろしければお母様と少しお話させていただければと思ったのですが、お電話に出ていただけなくて……」

 電話のむこうで息をのむ気配とわずかな沈黙があった。ガタガタという音の後、父親は『すぐに教室に向かいますので、もう少しの間だけユリアをお願いします』と言って電話を切った。

「ママ、来てくれるの?」

 ユリアが不安そうな目で見上げる。マヤはもう一度ゆっくりとユリアの髪を撫でた。

「もうすぐパパがお迎えに来てくれるからね。ちょっとだけ先生と一緒に待っていようね」

 そう言うと、ユリアは少し安心したように笑顔になり、いつものように学校であった面白いことや好きなテレビ番組の話を始めた。ユリアを担当してた講師には次の担当授業まで休憩してもらうように伝え、父親を待ちながらひたすらユリアの話を聞き続けた。30分ほど過ぎた頃、教室のドアが勢いよく開いて父親が駆けつけた。仕立ての良いスーツをピシリと着こなし、いかにもビジネスマンといった雰囲気は、子供の父親というのにあまり似つかわしくない感じがした。

「ああ、ユリア……こっちにおいで。先生、どうもお手数をおかけして申し訳ありません。最近その……家の方でいろいろとありまして……」

 父親は跳びはねるようにして抱きついてきたユリアを軽々と抱きあげ、まわりの視線を気にしながら言葉を濁した。マヤは軽くうなずいて、小さな声で父親に応えた。

「ええ、お話になりにくいことは無理におっしゃっていただかなくて大丈夫です。ただ、ユリアちゃんの背中、本当に痛そうなので病院に連れて行ってあげてください」

「わかりました。私も供の背中の件はさっきいただいたお電話で初めて知ったような次第で……とりあえず病院に連れて行きます。また後ほど詳しいお話をさせていただきたいのですが、お時間をとっていただけますか?」

「もちろんです。授業の後も午前0時ごろまでは教室にいることが多いので、事前にお電話さえいただければいつでもお話を伺います」

 マヤは教室の電話番号が書かれた名刺を差し出し、父親からは会社名の入った名刺を受取った。高峰政史、○△商事 代表取締役……そこに書かれた内容を無意識に目で追う。父親は深々と頭を下げて、ユリアを抱きあげたまま教室を出て行った。


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