強き想い-1
エクシスに用意された部屋の前を通過し、ふたりの王は指を絡ませたまま月に照らされた廊下を歩く。
ふたりが立ち止まった先には装飾の美しい扉があった。
「エクシスどうぞっ」
アオイが扉を開き、エクシスを招きいれる。
『・・・あぁ・・・』
小さく頷いたエクシスは彼女の部屋へ足を踏み入れた。
白とピンクで彩られた可愛らしい内装は嫌味がなく清楚にまとめられていて、いたるところに花が飾られていた。
あまり部屋で眠る習慣のないエクシスは物珍しそうに部屋中を見渡していた。
アオイはソファへエクシスを座らせると紅茶の用意をはじめた。
やがて甘い香りのする紅茶が差し出され、カップをのぞくと花びらが浮かべてある。
傍で笑顔を向けるアオイと花びらを見比べてエクシスは穏やかに微笑んだ。
「あ・・・エクシス、カップにはさわれる?」
思わずそう聞いたアオイにエクシスは答えた。
『・・・"物"に触れることは可能だ。問題ない』
「そっか、よかったっ」
カップに口をつけるエクシスを見届けて、アオイは向かいのソファに腰をおろす。
『・・・・・』
じっとその動作を見ていたエクシスは首をかしげた。
『・・・なぜ隣に座らぬ』
「え?」
『・・・夢の中でお前はいつも我の隣にいたと記憶している・・・』
「そ、そうだったっっ!!」
慌てるアオイの顔が心なしか赤い。
『・・・・・』
無言のままエクシスは立ちあがり、アオイの隣へ腰を下ろした。さらさらと流れる美しい金色の髪がアオイの肩に触れた。
ドキドキと高鳴る心臓に耐えきれなくなったアオイは勢いよく立ちあがった。
「えっと!!!・・・そうだっ!!」
逃げるようにベッドへ走り出したアオイはオーロラを閉じ込めたような石を探しに枕元へと手を伸ばした。
「あったっ!!!エクシ・・・・・」
振り返るとエクシスの顔がそこにあった。
『・・・なぜ逃げる・・・』
そう呟いたエクシスはアオイの頬に手を添えた。指先が耳に触れ、アオイの肩が小さく跳ねた。
エクシスの指が耳から首へ・・・そのまま肩へと降りて、アオイは優しくベッドへ押し倒された。