眠れない夜-1
三人の王をそれぞれの部屋へ案内しようとアオイが先を歩く。城内へ入るとカイが立っていた。
「おかえりなさいませキュリオ様、アオイ姫様・・・・・・姫様はもうおやすみください、あとは俺が」
「お前に案内されるのであれば俺は帰る」
そんな憎まれ口を叩くのはティーダだった。ティーダは何度かアオイに会おうと姿を変えて悠久を訪れていた。赤い目に黒い翼の・・・あの鳥だ。
ティーダはいつも親しげにアオイの傍を離れぬカイを疎ましく思っていた。
「ティーダ殿までおられたのですね」
カイとて悠久に爪跡を残し、アオイまで連れ去ったティーダを良く思うはずもなかった。
「ティーダ様、カイ・・・仲良くして、お願い」
アオイはすがる様にふたりの手に触れた。
「・・・そろそろ部屋でやすみたいのだが・・・」
マダラは言い合う二人を無視し、アオイへ案内を促した。
頷いたアオイは立派な客室へそれぞれの王を案内した。マダラは大人しく部屋へ入ったが、
「俺と一緒に寝ないか?」
ティーダはアオイの肩を抱き、艶やかな眼差しで誘ってくる。
『・・・貴様殺されたいのか・・・』
エクシスは苛立ったようにアオイの肩にまわされたティーダの腕をつかんだ。
「ったく・・・あんたがいうとシャレになんねぇんだよ」
ため息をつきながらティーダは部屋へと入って行った。
くすくす笑いながらエクシスへ向き直るアオイ。
「エクシスお待たせ、行きましょう」
にこやかにエクシスの部屋へと歩き始めた。
『・・・お前の部屋はどこにある?』
「私の部屋はすぐ近くですよ、もしよかったら・・・」
アオイが振り返ると、エクシスはアオイの指に己の指を絡めた。
『・・・お前のことをもっと知りたい・・・』
ティーダが聞いたら怒り狂うだろうと思いながらも、アオイは快く承諾した。
「あの石も部屋にあるから、エクシスにあげる」
指を絡めたままアオイは自室へとエクシスを案内した。