社長室での淫事-8
『マヤ、声が聞きたい。5時までに少しでも時間があればかけ直してくれないか』
胸の奥がほんのりと暖かくなる。すぐに通話ボタンを押し、着信をくれた相手にかけ直す。最初のワンコールが鳴り終わる前に相手が出る。大人の男が慌てた様子というのは特別に可愛らしい、とマヤは思う。
『も、もしもし? マヤ?』
「うん、そうよ。どうしたの? 仕事中でしょう?」
『ああ……どうしても、君の声が聞きたくなって。あのさ、今日の仕事終わってから、少しだけ会えないかな』
「いいけど、授業が終わった後に講師とのミーティングもあるし、すごく遅くなるわよ? たぶん0時を過ぎると思うんだけど」
『かまわないよ。その頃に、教室に行ってもいいかな?』
「終わったらこっちから連絡するわ。焦らないで。ほかの講師や保護者の人たちと鉢合わせしちゃったらまずいでしょう」
『あはは、そうだね。ごめん、僕の方がずっと年上なのに、最近はマヤのほうがしっかりしてるな』
「そんなことないわ……わたしだって会いたい。今日も、いっぱい可愛がって……」
『おいおい、そんな良い声出すなよ、こんなとこで大きくなっちゃったらどうするんだ……じゃあ、そろそろ行かなきゃ。電話待ってるよ』
「うん。またね」
通話を終え、今度はメール画面を開く。2件のメールは両方とも男からのもので、次はいつ会えるのか、会いたくて仕方が無い、という同じような内容だった。電話の相手も、メールの相手も、もちろん3人とも別々の男性であり、マヤはそれぞれと深い男女の関係を持っている。そしてその相手は、すべてこの教室に通う生徒の父親たちだった。
(つづく)