時、満ちるまで-1
視界を遮られたエデンはキュリオとエクシスの隙間から顔を出した。
「俺たちは・・・そうだな、
友達以上恋人未満ってところか」
「友達以上・・・恋人未満・・・」
懸命に考えているアオイは深刻な表情を見せていた。
「人界に帰ったらその先に進んでみるか?」
エデンはアオイの気持ちを軽くしようと冗談を言ったつもりだったが・・・その場にいた王たちはエデンを睨み、マダラはため息をついている。
「・・・私はエデン様と面識があるのですよね、他の王様たちとは・・・?」
アオイはキュリオやエクシス、ティーダにマダラへ目を向けた。
「お前は・・・他の王とは会ったことがない」
「仲がよくなかったということですか?」
「いいや・・・
人界はこの世界とはまったく別のものだからな。王といえども別世界を行き来することは不可能なんだ」
「・・・別世界を行き来できない・・・?」
「ああ、色々あって俺は例外だけどな」
「・・・人界の王様になったら・・・私はこちらには戻ってこれないということですか・・・?」
「・・・・そうだ」
キュリオは拳を握る手に力を込める。彼には認めたくない現実がここにあった・・・。
「・・・・そんな・・・・」
(この世界の方たちと二度と会えない・・・?)
力なくへたり込んだアオイをキュリオが抱きしめた。
「・・・アオイ、君はこの世界に生まれ私の元に来た。きっとこれは奇跡ではない、運命だ」
「キュリオ・・・」
「それに、今すぐ人界へ・・・というわけではない。人界はエデンに任せてアオイは今まで通り私の傍にいればいい・・・」
「ああ、今しばらくの猶予はあるだろう。神官たちにも俺から説明しておく」
・・・ドクン・・・
「しん・・・か・・・ん?」
耳にしたことがないはずの"神官"という響きに言い知れぬ懐かしさを感じる。
「俺はこれから人界へ行く。夜遅くに邪魔したな」
エデンはアオイに向かって片手をあげ、翼をひるがえし羽ばたいた。
複雑な気持ちで皆がエデンを見送ると、
「エクシスもティーダ様もマダラ様も・・・このまま泊って行かれませんか?」
ティーダがキュリオに目を向けると、
「好きにすればよい」
と素っ気ない返事が返ってきた。