決定事項-1
「あいつら・・・アオイが覚醒したこと感じたかもしれないな」
エデンは空を見上げて呟いた。
己の主が王宮に戻らないまま覚醒したとあらば、国中を探し回っているかもしれない。
感じることは出来ても、異世界までは探せまいな・・・
「・・・様子を見てくるか」
「エデン、神官たちにアオイの存在を話すのか・・・?」
ティーダはすぐにでもアオイが目の前から消えてしまうのではないかと心配していた。
「話すしかないだろう。
人界は崩壊の道をすすんでいるんだ、せいぜい王としての記憶が戻るまで・・・あとは選択肢がないと思ったほうがいい」
「・・・・他に方法はないのかよ」
「王が不在の世界がどれほど危険かわかるだろ」
アオイの手をひいたエクシスが向こうから歩いてくるのが見える。
ふたり優しく微笑みあっている姿が嫌味もなく美しい。エクシスはアオイを眩しそうに見つめていた。
「エクシス殿・・・・・変わったな」
エデンが独り言のようにつぶやいた。誰もが思っていることだろう。かつてのエクシスは他人に興味を示すことも感情を表すこともなかった。アオイが彼の心を動かし、光となったのだ。
「アオイと言ったな。
お前に話さなくてはいけないことがある」
アオイはエデンに見つめられ、視線を落とした。嫌な予感がするのだろうか・・・
「・・・はい」
「お前はこの世界の人間じゃない。人界と呼ばれる異世界に生まれるはずだった者だ」
「・・・・・・」
「そしてお前は・・・その世界の王だ」
エデンがアオイに近づき、頬に指を這わせた。
「俺のこと見覚えあるだろう?三百年も前からの付き合いなんだ・・・」
顔をあげたアオイはエデンの深い瞳を見つめた。(聞き覚えのある声に、力強い眼差し・・・この手のぬくもり、どこかで・・・)
視線をそらしたアオイは、
「よくわからないんです、確かに心当たりはあるような気がするのに・・・・」
「・・・一度人界に行ってみるか?」
アオイの髪をすくって口付けるエデン。まるで恋人かのような振る舞いにアオイは頬を染めた。
ムッとしたキュリオとエクシスが二人の間に割って入った。
「そ、その・・・私とエデン様はどのような関係だったのでしょうか・・・?」