妄想とリアル-1
「やあっ、広瀬! 恥ずかしいっ」
「だってお前、俺にこうされたかったんだろ? ド変態が今更恥ずかしがるんじゃねえよ」
あたし達はさっきまでいたベッドから場所を移して狭いユニットバスの中にいた。
密閉した空間に、ゾリ、ゾリと言う音だけがやけに響いていた。
今、あたしは広瀬に黒い茂みを刈られている。
そしてあたしの両手はネクタイで後ろ手に縛られて、バスタブの縁に座らされていた。
先ほどの広瀬の質問の答えが、現実に行われていた。
あの時はオナニーで気持ちが高ぶりすぎていたから、思わずそう答えてしまったけれど、よくこんな恥ずかしいことを口にできたと我ながら思う。
「ほら、羽衣。脚閉じてきたぞ。剃りづらいからちゃんと開けって」
「……んっ」
あたしが恐る恐る脚を開くと、彼は自分のシェービングムースをそこに塗りたくり、再び優しく刃をあてていく。
「ああっ……、はあっああん!」
「ほら、もう少しで綺麗になるから我慢しろよ」
広瀬はそう言ってくねるあたしの身体を一撫でした。
「ダメ……もう、我慢できない……」
「だってお前、俺に縛られて、あそこの毛を剃られたいって言ったじゃん」
「だって……こんなに恥ずかしいと思わなかった」
「俺だって、羽衣がこんなド変態だとは思わなかったよ」
広瀬の言葉に顔がかあっと熱くなる。
確かにそうだよ。
縛られたい、陰毛を剃られたいなんて、変態以外の何者でもない。
普通の男ならドン引き間違いない、と思う。
でも、好きな人に抱かれるなら、とことんあられもない姿をさらけ出したい。
「広瀬はあたしのこと、嫌いになっちゃった?」
不安になりながら訊ねるけれど、
「いや、全然。むしろおねだりする羽衣が可愛すぎてヤバい」
そう言って、広瀬は剃刀を洗面台の上に置いた。
その企んでいるような含み笑いに、あたしを引くような様子は感じられない。
あたしはドMだけど、もしかすると広瀬はドSかもしれない。
いつも明るくてユーモアのある彼の、裏の顔を垣間見たような気がして、なぜかゾクリと背中が泡立った。
いくらか肌に残った毛を手で払った広瀬は、あたしの脚の間をジッと見つめると、
「俺、3歳になる姪っ子がいてたまに風呂入れてやるんだけどさ。こうして見ればお前のとはエラい違うな。姪っ子のはツルツルで綺麗な縦筋だけなのに、お前のはビラビラがはみ出して、それが少し黒ずんでてすげぇエロい」
と、穴のあくくらいそこを凝視しながら、どこか嬉しそうに笑うのだった。
「やっ、そんなこと言わないで……」
「あー、今すぐ挿れてえけどとにかくこの毛を流さないとな」
そう言って、広瀬は自分の服を脱ぎ始めた。