名も無き王のささやかな企み-4
「気持ち良かった?」
「ん…………」
朦朧とした意識の中、私は隆の言葉に静かにうなずく。
「俺、ホントに夏樹姉ちゃんの事………… 大好きだよ?」
「ん………… 私も…… 隆の事が好き…………」
あんなにも言えなかった言葉を驚くほど自然に口にした私は、
ゆっくりと両手を隆の首に回しては、今度は自分から隆の唇にキスをした。
はだけた浴衣など気にも止めず、今までずっと我慢してきた想いを注ぎ込むように、
隆の熱い舌を必死で絡め取りながら、何度も何度も隆にキスをする私。
「なんか…… 夢みたいだ…………」
「そう? 私はこんな夢………… いままでずっと何度も見てたよ?」
「えっ? あっ…… えっと………… な、なんか急に直球だなぁ…………」
「だってさ…… なんだかもう我慢するの………… 馬鹿馬鹿しくなっちゃったんだもん」
そう言って私が笑うと、隆もまたつられて笑顔を見せた。
「じ、じゃぁさじゃぁさ? 俺のここ…… こんなになったままで辛いんだけど…………」
すると突然、そんな事を言っては私の手を取ると、
未だ硬く膨らんだままの股間へと導く隆。
「くす…… だーめ! 今日はもう我慢しなさい?」
「えぇっ! そりゃないよ…………」
がっくりと項垂れた様子の隆を見て、
私はまたクスリと笑った。
「花火…… 終わっちゃったね?」
「あんま見れなかったなぁ…… その代わり姉ちゃんのイク顔はしっかり見れたけど…………」
「ば、馬鹿っ! そういう事は言わないのっ」
「あれ? もしかして照れちゃってる? やっぱ可愛いなぁ夏樹姉ちゃんは……」
「う、うるさいっ! もう絶対見せてあげないんだからっ!」
「それは無いな…… なんなら今からもう一度…………」
「なっ…… 調子に乗るなぁ!!!」
何気ない隆の一言に一喜一憂してしまう私。
きっと今までもそうだったのだろうけど、
こうして思いを吐き出すたびに、あらためて私は隆を好きだったのだと気づかされる。