アオイと葵-1
キュリオに押し倒されたアオイは硬直していた。
「アオイの返事が聞きたい」
切なげな目をしたキュリオは、ゆっくりアオイに口付けした。アオイはその口付けに胸が苦しくなる。
(お父様の・・・キュリオの心が私の中に流れてくる・・・どうして?嬉しいはずなのにどうしてこんなに悲しいの・・・?)
「私も・・・キュリオのことが・・・」
と、アオイが言いかけたとき、扉をノックする音が聞こえた。
「キュリオ様、おやすみのところ申し訳ありません。アオイ姫様とともに広間にお越しくださいませ・・・各国の王がお見えになっております」
「・・・各国?」
首をかしげているアオイはキュリオの顔をのぞきみた。ため息をつき体を起したキュリオはアオイの肩を抱き、
「私とアオイの邪魔する者が多いのはなぜだろうね」
と、笑って額に唇を寄せた。
笑ってはいるものの不機嫌さはアオイには隠せていなかった。アオイは小さく笑い、キュリオの頬にキスをした。
思いがけないアオイからのキスにキュリオは穏やかな表情を浮かべ・・・ふたりは広間へと向かった。
翼をひらひらさせ、元気よく階段をおりてゆくアオイは見慣れた王たちに挨拶した。
「エクシス!!
ティーダ様にマダラ様も・・・」
ひとりだけ見慣れぬ顔がいて、アオイは一瞬挨拶に戸惑った。
「アオイ、彼は雷の国の王でエデンという名だよ」
キュリオに囁かれて、アオイはエデンの顔をもう一度みた。
「・・・雷の国のエデン・・・さ・・・ま?」
ティーダ、マダラ、エクシスがふたりの反応に注目している。
「ふっ・・・
転生・・・か、翼も姿も・・・葵そのままだな」
「・・・・・・」
アオイは沈黙している。
エデンの顔を見つめたまま動かない。
「・・・どこかで・・・わたし、エデン様を・・・」
「・・・っ」
アオイの翼が淡く光輝き・・・
それと同時に胸を押さえて膝をつくアオイの体をキュリオが支えた。
「無理強いはよくないな。負担が大きい」
マダラは目を閉じた。
『・・・アオイ、悠久の話を聞かせてくれぬか?・・・』
「あ・・・」
立ちあがりアオイはエクシスの元へと歩み寄った。エクシスのアオイを見る目はどこまでも優しさに満ちている。
そんな中、キュリオはふたりから目を離さなかった。