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cool garden〜before〜
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cool garden〜before〜-1

夢を見た。
現実がそのまま夢に出てきたような感じだった。
3年前のあの出来事が今頃?

今思うとそれは予知夢だったのかもしれない。

 

その日、ヒロが家に泊まりに来ていた。
その中俺は飲みながらリョウコとメールをしていた。
「ノブー、ごめんねぇ。ホント姉貴ウザくてさぁ」
「いや、別にいいけど…」
なんだか、ヒロ姉が夫と争っていったん自宅に帰ってきてるとか。
「もーやだ!姉ちゃん嫌い!!」
そーいう話を聞いてると、俺も思い出す。
母親と言い争っていたあの頃の事を。
「ノブのおとーさん遅いねー。もう12時過ぎてるよ?あぁ、なんだっけ、父子家庭?ってゆーの?頑張ってるんだねぇ。ねぇねぇ、やだったら答えなくてもいーけどさ、お母さんとはどーなってんの…?」
酔ってる所為かよく喋るなコイツ。
しかも思い出してる矢先にそういう質問か。
「…聞きたい?」
「いや…言いたくないならいーよ」
「…いいよ、教えてやるよ」

 

今から3年前までは、俺にも母親がいた。
2人目の母親。
1人目は、俺を産んですぐに死んだ。
どうして死んだか、どんな顔だったかなんて記憶にない。つーか知らない。
俺が中学に上がった年、親父は再婚。
始めの頃はまだ感じが良かった。
それも束の間、日が経つに連れ、あいつの俺に対する態度が変化していった。
再婚相手の子供に、というか俺に嫌悪感を抱くようになるのは予想の範疇だった。
だけどあいつの嫌悪は異常だった。
それは精神的なものから身体的なものに移った。
目を合わせなくなった事から始まり、俺を自分の近くに寄せ付けなくなり、終いにはひっぱたく蹴るなどの虐待行為。
所詮女の力だからそこまでは痛くなかったが、最終的に、2階の窓から突き落とされた時は死を覚悟した。
それをきっかけに親父は離婚。

「ほんで今に至るみたいな」
「ふーん…大変だったんだねぇ…」
「…別に話したからってどうなるワケでもないし…まぁ忘れていーから」
「いや、つーかめっちゃごめん!変な事聞ーてホントゴメンね!!」
「ホントよね…」

 

翌日、学校が終わりリョウコと街に出ようと思い待ち合わせ場所に行った。
そしてその場で俺とリョウコ、他にも数人がトラックに激突され、リョウコは死亡。

 

俺はエレベーターの上へ向かうボタンを押した。
信じられなかった。
信じたくなかった。
だけど逃げられない…。
それなら、もう俺に残された道は1つだけしかない。

 

リョウコがもうこの世にいないとわかった時点で、俺は自分の死を受け入れていたのかもしれない。
怖くはない。
残ったのは…
――孤独感。

 

そうだ、この感覚。
窓の外に押された時と同じ。
落ちている時間が少し長くなっただけ。

空はだんだん高くなる。
皮膚が全てを拒絶する。
そして刹那の強い衝撃と共に、俺の体の全ての機能は停止した。


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