兄妹以上、恋人未満-9
「ミカ、昨日眠れなかったんじゃないか? 俺が、あんなとこ見ちゃったから……」
「えっ、あっ……うん、まあ……」
急にそんな話を振られて戸惑った。どんなふうに答えればいいのかわからない。ケン兄ちゃんがわたしの正面に座り、少しきつい印象のある切れ長の目でわたしをじっと見つめる。
「でさあ、ちょっと考えてみたんだけど、それってやっぱり昨日ミカが言ってたとおり『性欲』だと思うよ。ああいうことして、少なくとも1回目はすっきりしたんだもんな?」
「うん、そうよね……」
「男と女とは違うから、なんとも言えないこともあるけどな。ミカ、俺でよかったら協力するよ」
「え? 協力……?」
ケン兄ちゃんの目が、ちょっとだけ意地悪になった気がした。気まずくて視線を外すと、強く顎をつかまれて無理やりケン兄ちゃんのほうを向かされた。
「いたっ……痛い……」
「真剣に聞けよ。ミカは俺にとって大事な妹みたいなモンなんだ。これから受験もあるし、そんな集中できない状態じゃどうしようもないだろ? ちゃんと俺が満足させてやるからさ。たぶんそれで、すっきりできると思う」
「満足って……?」
「あのDVD見て興奮したんだろ? たぶん1回目は初めてで刺激が強かったからイケたんだろうけど、2回目はもうそれだけじゃ物足りなくなった……ミカ、おまえの体は男を欲しがってるんじゃないのか」
「そ、そんな……あっ」
腕を強く掴まれてベッドに引っ張り上げられた。ケン兄ちゃんの匂いに全身が包まれる。髪を優しく撫でながら、耳朶を噛まれた。体の中の疼きがびんびんと肌にまで響いてくる。目を閉じる。唇を割って舌が口の中に滑り込んでくる。それに自分の舌を絡ませるだけで、体温がぐんぐん上がる。
「んっ……ふぅんっ……」
「昨日どんなシーン見たんだよ。それで、どんなふうに触って気持ち良くなった?」
だめ、と小さな声で返すと、初めて聞くような怖い声で「言えよ」と脅すみたいに言われた。スカートの下のふとももを、ケン兄ちゃんの指が這う。下着の中が熱くなって、じゅんとあの液体が染み出すのがわかった。興奮している、わたし、すごく……
「あ、あの……最初は、女の人が胸を揉まれたり、あの、あそこを、舐められたりしてて……それで、わたしも、そうやって触ったら気持ちいいかなって思って……」
「で? どうやって触ったんだよ。やって見せろ」
いやいやと首を振っても、ケン兄ちゃんは許してくれなかった。わたしはブラウスのボタンを外し、ブラも取って、昨日と同じ上半身だけ裸になって自分の乳房に触れた。
「こ、こうやって……ぎゅって揉んで……それから、ここの、乳首のところも、こう……んっ……はぁ……」
乳首のところがすごく固くなっていて、そこを指で抓るとじんじんして気持ち良くて、またなんだか止まらなくなってしまった。くりくりといつまでもいじっていると、ケン兄ちゃんが笑いながらわたしの手を押さえつけた。