兄妹以上、恋人未満-13
目が覚めたのは、もう窓の外が薄暗くなってからだった。心配そうにわたしを見つめるケン兄ちゃんの横顔がすぐ近くにあった。
「あれ……わたし……」
いつもの優しい顔でケン兄ちゃんが微笑む。シーツの上からわたしの体をそっと撫でる。
「よかった。ちょっと激しくしすぎたかなって思って心配になったよ……ごめんな。あんなDVDで興奮するくらいだから、ちょっと激しめのほうが好きなのかなって」
「えっ……」
ケン兄ちゃんにされたことを思い出す。頬がめちゃくちゃ熱くなる。
「それでさあ、体のほうはどう? ちょっと落ち着いた?」
「あ、そういえば……」
あのイライラした感じはすっかり消えていた。体を起してみても、重くもだるくもない。久しぶりに感じる一点の曇りもない爽快感に、わたしはケン兄ちゃんに抱きついてはしゃいだ。
「すごい! 昨日までと全然違うよ! ああ、ほんとケン兄ちゃんのおかげ。ありがとう!」
「あはは、それはよかった。これからは、ああいうふうになったときすぐに俺のとこに来いよ。責任もってすっきりさせてやるから。でも……」
両腕で強く抱き締められて、息が苦しくなる。顔に押し付けられた胸から熱い体温と鼓動が伝わってくる。
「ああいうふうにならなくても、ミカはこれから毎日俺に会いに来い。わかったか?」
「毎日……? どうして?」
「馬鹿、俺が一緒にいたいからに決まってるだろうが。今夜もまだ帰さない。もう一回気を失うまで可愛がってやる」
強気な言葉と裏腹に、せつなげに細められた瞳。その目に心の真ん中を捕まえられた気がした。今度は自分から両手を広げて、ケン兄ちゃんの大きな体を受け止めた。優しいキス、激しい愛撫、そして体の一部を繋ぎ合せること。わたしたちの関係は、この日を境に大きく変わった。