ハニービー-5
その後、ハナは俺の耳掃除をしたりして、再び俺をリラックスさせて眠らそうとしてきた。
俺は眠くなった時に敢えてハナの膝のあたりを撫でさすってみた。
すると、ハナはまたもや俺の鼻を強烈につねったりしたのだが、おかげで目は覚めた。
俺は、彼女の攻撃性を利用してやったのだ。
痛みはあったが、してやったりの心地よさ。まさに痛快である。
「あなた、なかなかやるじゃない。数々の男共を眠らせてきたわたしの膝枕に屈しないとは……少し、見なおしたわ」
「百戦錬磨の格闘家みたいな事を言うなよ。それより、まさかこれで終わりじゃないんだろう?」
「チッ、しょうがないわね。じゃあ、仕方ないから狭苦しいお風呂にでも入りましょうか」
「そうそう、そういうのを待ってたんだが……(何か一言多いんだよな)」
ハナに服を脱いで風呂に入っておくように言われたので、その指示に従った。
ユニットバスは確かに狭いが、頑張れば二人くらいはなんとか入れそうだ。
しかし、元同級生を裸で待つというのは、ハナの言うように確かに淫猥な気もする。
ああまでエキセントリックな同級生が、一体どういうサービスをしてくれるのか。
俺のものはその期待と現在のシチュエーションによって、半勃ち状態である。
ハナは変わってはいたが、不思議な魅力は持っていた。言葉にはしにくいものだ。
バスチェアに座ってそんな事を考えていると、ハナが中に入ってきた。
「あらあら、何か少しカ○キラーの臭いがするわね……ちゃんと換気はしたの? まぁ、掃除しておこうという心構えは評価しておくわ」
「そうか? 換気扇ずっと回してたんだが――いや、そんな事より、君……」
「なあに?」
ハナはモデルがポーズをとるように、体をくねらせてシナを作ってみせた。
胸は小ぶりだが、お尻はやや大きく、ウェストは引き締まっている。
肌は水を弾きそうな艶やかさで、小麦色が元の白に近い肌色に戻る途中のような、生き生きした色合いだ。
そんな彼女がシナを作ると、なかなか扇情的ではあるが、一言言いたい。
「なんで、水着着てるの?」
「水着、買ったんだけどこの夏着れなくなったんだよね〜、せっかくだし。似合う?」
「似合う……けど、それ今なのかなぁ……」
「もしかして、わたしのハダカが見られると思ったの? 残念だったわね、や〜い、ひとりだけはだかんぼ!」
ハナはビシッと俺に指を指し、そう言い放った。
俺は、一度深い溜息をついた。
やはり、チェンジをするべきだった。
俺が初心者だったのと、ダイブツさんにビビりすぎたのがいけなかったのかもしれない。
溜息をつくと幸せが逃げる、などとハナが偉そうに俺にほざく。
誰のせいで、溜息をつかされていると思っているのか。
もっとも、今の俺はいくら溜息をついても、幸せが逃げることはない。
既に、幸せは去っていってしまっているから。
「何よ、こんな美女を目の前にして、暗い顔してさあ。こっちもやる気なくしちゃうわよ」
「君、そもそもやる気あったのか」