『The girl&boyU【in girls dream】』-4
男の、声と顔と、匂いが目の前をよぎった。
叫びたくなって、壊したくなって、息を吐いて。
男の存在の重さをようやく理解して、やはり失ってからでは遅いのだと、頭の片隅で悔やんだ。
そして、何気無く見やった先には、量りが見えた。
意味は無かった、ただ何かをしていなければ、いられないくらい苦しかった。
量り、銀色の台、その上でそっと手を開き、手の中のものをのせてみた。
形見だよ。
甦る男の声、顔、匂い、感触。
男の2本の指は、ちょうど70gだった。
「なるほど、それで君は朝、起き抜けで突然部屋に入って来たと思ったら、無言で僕の指を握り締めて目を腫らしているという訳なんだね」
「そういうこと」