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「チョコレートどう?」真雪が二人に皿に盛られた小さくいびつなチョコレートを勧めた。
「これは?」
「あたしん家のこの秋の新製品。マロン・チョコ。」
「へえ。」夏輝はそれをつまんだ。
「中の栗を加工するのに二週間もかかる高級チョコレートなんだよ。」
「そんなに?」
「そう。じっくり時間をかけて、甘く、芳醇な香りになっていく。お酒もちょっとだけ入ってるよ。」
「おいしい!すごくおいしい。修平も食べてみなよ。」夏輝は修平にそのチョコを一つつまんで手渡した。
「セックスも同じだ。」
「え?・・・同じ?」
「好きな二人が時間をかけて経験を重ねれば甘く、かぐわしくなっていく、ってもんだよ。人を酔わせる要素も入ってるしね。」
修平もそのチョコレートを口に入れた。「ほんとだ、ただ甘いだけじゃなくって、すごくいい香り・・」
「そうそう、二人にプレゼント。っつーか、記念品。」ミカが写真の束を二人に手渡した。
修平がそれを受け取り、見た瞬間、「おおっ!」大声を出した。「こっ、こっ、これはっ!」
「何、なに?何の写真?」夏輝もその写真をのぞき込んだ。
それはケンジとミカのさっきのシーンを撮ったものだった。
「す、すげえ!」
「かっこいい!」
二人は食い入るようにその写真を見続けた。まるでスポットライトに照らされてケンジとミカが抱き合っているところから、濃厚なキス、ケンジのミカの乳房への愛撫、ミカのフェラチオ、ケンジのクンニリングス、二人が繋がる瞬間、そしてフィニッシュ。
「ま、まるで映画のシーンみたい・・・・。」
「そうか、それで時々シャッターを切る音がしてたんだ。で、でも誰が撮ったんですか?」修平が顔を上げた。
「こいつだよ。」ミカが顎で龍を指した。
「ええっ?!」修平と夏輝は同時に大声を出した。「りゅ、龍が?!」
「な、なんという強烈中学生!」
「君たちも撮ってもらうか?」ミカがにやにやして言った。
「え、え、遠慮しときますっ!」